「わわっ!突沸した!!!」

「はいはい落ち着いて。コックあけるよ。」

「うぅ。怖かった。」

「大丈夫でしょ。トラップで止まってるし。」






ただいま学生実験中。





私達のクラスは週に二回、実験の授業があって。いろんな研究室の教授や先輩に教わりながら様々な実験をする。



そして今回は。
化学の実験。



減圧濾過してとある物質を分析するって流れで特に難しいことはないんだけど。
実験器具って慣れてないと扱いが難しいし、何よりちょっと怖い。


「よし、落ち着いたっぽいし後は時間かけるしかないね。」


総司と同じ班で良かった。
だって慌てたりとかしないし冷静だし。

実験台から離れてテーブルの方へ戻ると総司はすらすらとノートに実験の経過を書いていく。
同じ班のみんなも同様、席に戻っていた。





「私も書かなきゃ。」




席に戻り、ノートを広げて実験の内容について書いていく。
ちらりと総司を見てみるとだいたい書き終わったのか今度は反応式を書いていた。




(うわぁ…。)




よく白衣姿が好きって子がいるけれど。
私はもう白衣姿って見慣れてるし、特に何も思わない。




だけど。




ノートとか、ドラフト装置のガラス部分にさらさらと化学式とか反応式を書かれるのに弱い。
数学の数式でもいいんだけど、自分の苦手なものをさらさらと解かれるとかっこよくない?



まさに現在進行形で総司がそれをしています。



じっと見すぎていたのか、総司がこっちに気付いた。




「どうしたの?」




見とれてましたなんて口が裂けても言えない。
化学式書いてるのがかっこよかったとか言えない。




「別に。」

「?」




きょとんとしたのは一瞬で、ニヤっと笑うと総司が顔を私の耳元に近づけた。





「見とれてた?」

「っ!?」





すぐに離れるとまだ意地悪そうに笑ってた。
この人わかってて聞くんだもん。性格わるっ!





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