――ドガッ!


―――パキッ



何かがぶつかったような音と。
ポッキーが割れた音がほぼ同時にした。




ゆっくりと目をあけると。




ごろんと倒れている土方さんと。
横からおそらく蹴りをいれたであろう総司が立っていた。



「土方しゃーん、そろそろおねむの時間でちゅね。さっさと寝てくだしゃーい。」

「そ、総司。」



いきなり蹴られてめちゃくちゃ怒る…と思われた土方さんは、本当に眠ってしまっていた。
お酒が完全に回ったらしい。



「土方さん寝ちまったのか?」

「おいおい、そこで寝るなってー。もう仕方ねえな。平助、運ぶぞ。」

「へいへい。」




永倉さんと平助が立ち上がり、寝転がった土方さんを無理やり起こして寝室に運んで行った。



「俺達も寝る準備をするか。」

「では、風呂の用意してきます。」


一君と山崎君も立ち上がる。


「はい、左之さん。手はなしてね。」

「お、そうだな。残念だけど。」

「あ。」



総司が私と原田さんをひきはがすように間に入った。


「お風呂は順番だし。ちょっと外でも見てこようかな。美月もついて来てよ。」

「え?あ、うん。」

「じゃ俺は新八達手伝ってくるかな。布団の準備しておくわ。」

「よろしくお願いします。」



総司に手をひかれ、私達は外へ出た。






もうすっかり暗くなっていた。





「わぁ〜綺麗。」




さすが自然豊かな所。
星が散りばめられているように輝いていた。
空が近い。





「すごいね、総司。」

「うん。」




あれ?なんだか総司、元気がない?



「総司、どうしたの?」



顔を覗きこもうと近づいた瞬間。


「!」


ぎゅっと抱きしめられた。


「そ、総司!?」

「今日、みんなに触られ過ぎ。近寄られ過ぎ。」

「それは…。」



いや、確かにそうだけど。
私もびっくりしたけど。
でも、罰ゲームだし。


「わかってるよ。美月のせいじゃないって。でも、いやだ。」



――好きだから。美月が大好きだから。




耳元でささやかれる。
一気に体温が上昇するのがわかる。


「……。」

「一君になんて言われたの?」

「それは…。」

「僕が何度でも言うから。上書きする。」



抱きしめられた状態で耳元で何度も囁かれた。
その間に手をとられ甲にキスされる。
そのまま右手は繋がれて。



まるで今日私が他の人にされたことを消すみたいに。


「土方さんなんて僕が止めなかったら。」

「んっ。」



キスが降ってきた。
総司の顔はまだ不機嫌のまま。


「あまり無防備すぎないで。」

「そんなつもりは…。」

「黙って。」



さらにきつく抱きしめられて深く口づけられる。



息ができない。
まだまだ慣れなくて。
どうすることもできず、ただじっと総司の腕の中でキスを受け入れる。


「んっ、ふっ…あ。」

「美月可愛い。」



上から優しく見つめられると何も言えなくて。



「そろそろ我慢も限界なんだよね。」




我慢って。



つまりはその。



「今日は無理だけど。そろそろ覚悟しておいてね??」



にっこりとほほ笑まれて解放された。
付き合って早二ヶ月。

なんとなーくはぐらかしてきたけれど。

そうですよね。
もうそろそろ無理ですよね。
大人ですもの。



頭ではわかってるけど。
どうしていいかわかんなくて。
だって怖いもん。


そんなことを考えてしまってつい俯いていると総司が手を握ってきた。





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