「何それ。新八っつぁん。」

「研究室の奴に持ってけって言われたんだよ。女子がいたほうがおもしろいけど、男子だけでも盛り上がるって。」

「黒ひげか?」

「なんか剣に書いてあるけど。」

「説明書によると、黒ひげをとばした人はその時さした剣に書かれている指令をしないといけないと。」

原田さんと総司の疑問を説明書を見ている山崎君が答えてくれた。
やり方はあの黒ひげと変わらないらしい。


「何これ。罰ゲームみたいな??」

バラバラとだされた剣をみると罰ゲームのような指令が書いてある。


変顔をしろとか。
恥ずかしい話しろとか。


「ま、試しにやってみようぜ!」


そう言って永倉さんが一本目の剣をさす。



――パーン



「「「…。」」」

「さっそく飛ばす奴がいるかよ。」

「まぁ、例になっていいんじゃないですか?で、何の指令が書いてあるのかなっと。」



苦笑いの原田さんに思わずみんなも頷く。
総司が永倉さんがさした剣をひきぬき指令を読み上げる。




「…セクシーポーズをする。」

「「「はぁ!?」」」

「おい!誰も求めてねぇだろ!」

「見たくもない。」


原田さんと一君の意見にごもっともと言わんばかりにみんな眉間に皺をよせる。
まあそりゃそうか。永倉さんのセクシーポーズって…誰得?

「勘弁してくれよー!!」

「男に二言はねぇだろ、さっさとやれ、新八。」

「セクシーってなんだよ!?マッスルポーズなら得意なんだけどなぁ。」



叫ぶ平助を無視し、土方さんが命令すると永倉さんがいろいろポーズをしはじめる。




…。
……。
………。





みんなのテンションがどんどん下がっていくよー!誰かとめて!!!




「まぁこういうゲームなんですね。次いきますか。」

ナイス!山崎君!!!
永倉さんの横にいた平助が黒ひげをセットし、剣をさしてゲームを開始した。


「剣に書かれてる指令見ないようにしてささないとおもしろくないよな!」


平助はそう言って剣を全て箱に入れる。
見ないようにして取り出すわけね。



土方さんも総司も山崎君も剣をさし終え。


「俺か。」


一君が思い切り剣をさす。



――パーン!



「あ。とんだ。」

「…。」

「えーと、斎藤さんがさしたのは…。」




山崎君が一君がさした剣をぬきとり読み上げる。


「右隣の人に耳元で愛をささやく。」

「はっ!?」


向かい側から総司が前のめりで叫んだ。


「え?右って私!?」

「おっ、なんかおもしろくなってきたじゃねぇか。」


いやいやいやいや。
おもしろがってるの原田さんぐらいですから!



一君のほうを見てると完全に固まっている。
そりゃそうだよね。
好きでもない子に愛をささやくなんて。
罰ゲームとはいえ一君はそういうの苦手そうだし。


「ほら、さっさとやっちまえ。進まねえだろうが。」


土方さんの一声で一君がくるりとこちらを向いた。
さすが土方さん至上主義!


「美月。」

「は、はい。」



ゆっくりと近づいてくる一君。
私の耳元へ、まるで内緒話をするかのように。



「俺はお前が好きだ。」



本当に小さな小さな声で言った。
多分みんなには聞こえないぐらいの。



罰ゲームとわかっていても。
耳元でこんなこと言われると。




恥ずかしい!!!!!



「っ〜!」

「…。」


「ちょっとーなんか二人とも赤いけどなんて言ったの!?一君!!!」

「教えるわけないだろう。平助。」

「次いきましょ、次。」

「おいおい怪しいなぁ。」



ニヤニヤ見つめる永倉さん、原田さんから目をそらすように黒ひげの準備をした。


ちらりと総司を見る。


(うっわぁ。不機嫌モード全開です。)



睨むように一君を見ている。
一君は顔を赤くして俯いてて気づいてないみたいだけど。




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