「なぁなぁ!魚とったぜ!?」

「串にさして焼こうぜ!!!」


嬉しそうにバケツに入った魚を見せてくるのは平助と永倉さんだった。
川魚が数匹捕獲されている。

「どうやってとってきたんですか。」

「根性だよ、根性。」


根性で魚とれたら苦労しないよ。原田さん…。



バーベキューの準備がおわるころ、三人が戻ってきた。
土方さんと一君も掃除を終え、私たちはみんな外へ集まっていた。


「まだ早えけどとりあえず乾杯しちまうか??」

「ナイスだ左之!こういうのは明るいうちから飲むからいいんだよなー!」

「肉とか野菜も焼こうぜ!俺、食べながら飲みたい!」



ぎゃーぎゃーと騒がしくバーベキューがスタートした。
一君と山崎君がもくもくと野菜や肉を焼き始め、お祭り騒ぎの三人が大笑いしながらお酒を飲んでいる。
土方さんもなんだかんだで楽しそうだし。


「総司も何か飲む?」

「うん。美月は?」

「私はお茶。たくさん食べたい!」

「ほら、これ焼けてるよ。」


そう言って総司は串を渡してくれる。
外で食べるとおいしく感じるのはなんでだろう。


「おいしい!特に野菜!!」

「野菜は朝学校でとってきたものだ。こういうとき、自分の学部がありがたく感じるな。」

「一君、朝から収穫してきてくれたの?」

「あぁ。」

「ありがとう!どれもおいしいよ!」

「そ…そうか。」



あ、一君照れてる。
自分で育てた野菜だもんね。
ほめられたらうれしいよね。


「美月さん、お肉も焼けてますよ。」

「ありがとう山崎君!」


なんだかいたせりつくせりだなぁ。
こういうとき女の子はお得かも。


「ほらほら、土方さん。せっかくバーベキューしてるんだから飲みましょうよ。」

「飲んでるよ。」

「足りませんって。ほらほらー。」



少し離れたところで総司が土方さんに絡んでいた。
あーつぶすつもりだよ、あれ。


空がゆっくりと暗くなるのを見つめながら、私たちは楽しくバーベキューをした。













そして。





「腹いっぱい…。」

苦しそうに、しかし満足そうにお腹をさすりながら平助が呟いた。

「だな。そろそろ部屋入って酒盛りといくかー!!!」

「まだ飲むつもりですか?永倉さん。」

「まだまだ飲んでないだろーが!」

「土方さん、もう酔ってますよね?」

「酔ってねえよ。」



すでに出来上がっている先輩を心配しつつ。
私たちはコテージの中に移動した。


ローテーブルにお酒やお菓子を並べ、酒盛りの姿勢に入る。

「お腹いっぱいだね、一君。」


私の左隣りには一君が座った。


「あぁ。あんたは飲んでるのか?」

「ちょっとだけね。一君は?」

「俺は飲んでいない。まだ二十歳ではないからな。」

「さすが一君。山崎君は飲んでる?」



一君の向こうに座っている山崎君に声をかけた。


「飲んでますよ。」

「山崎君、変化なしだなぁ。」

「美月、お菓子食べるか?」

「わーい、それ好きなやつです!」


右隣から原田さんが私の好きなお菓子をくれた。こういうふうに細かい気遣いができるからもてるんだろうなぁこの人。


原田さんの向こう側に永倉さん、平助。
私のちょうど向かい側ぐらいに土方さんでその横に総司、山崎君、一君と円をかくように座った。



総司と離れちゃったのは残念だけど、今彼は土方さんいじりに夢中だからね。
仕方ない…のか?


「よーし!酒も良い感じでまわってきたし、ゲームしようぜ!ゲーム!!」


そう言って永倉さんは荷物をあさると箱を持ってきた。





―らぶひげ―と書かれた箱を。





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