「快晴だぁぁ!バーベキュー日和だな!」


永倉さんの声が響き渡った。


綺麗な川。
山々に囲まれた自然豊かな土地。
太陽は燦々と輝いているが暑さは感じなかった。


「よっしゃー!俺、魚釣ってくる!」

「てめぇら、あんまり遠く行くんじゃねぇぞ!」

「大丈夫だよ、土方さん。子供じゃねぇんだから。行くぞ!平助!!」

「着いた瞬間川に飛び込むとか子供以外の何物でもないです、原田さん。」



今日は剣道部の二年生以上でキャンプにきているのだ。
近藤さんの知り合いがコテージを経営していて、安く泊まれるとの理由から二年生以上のメンバーでくることになった。
一年生までいれると大人数になっちゃうからね。



「美月、僕達はバーベキューの用意しようか?」

「そうだね。」

「俺が火の準備しておきます。二人は野菜の下準備しておいてください。」

「「はーい。」」


すでに網や炭の準備をしていた山崎君に言われ
私と総司は同時に返事をする。


「あーあ。千鶴がいたらなぁ。」

「残念だったね。先約があるんじゃ仕方ないけど。近藤さんも来れなかったし。」

「近藤さんの知り合いのコテージなのにねぇ。」


そんなことを言いながら荷物をコテージに運び込んだ。
森の中に一軒家があるようで。
お風呂もトイレもついていた。
小さいけどキッチンもある。



近藤さんと千鶴、山南さんも用があってこれなくて。
今回は私と総司、平助、一君、土方さんに原田さん、永倉さん、山崎君の八人できている。

「じゃ野菜きるから総司串にさしていってね。」

「はいはい。」


まだまだ夕方まで時間はあるけど、準備してたらあっという間なんだろうな。


「バーベキュー楽しみ!!」

「まぁ、なかなかすることないよね。」

「平助達、お魚とってくるかな??」

「そこは期待しないほうがいいんじゃない?」

「だよねぇ。」



だって釣り道具も何もないもん。
あの三人どうやって魚とるつもりなんだろ。



野菜を手早く切っていると土方さんが入ってきた。



「美月。」

「はい?」

「お前、料理できんだな。」

「失礼なんですけど。」



野菜をきっている手つきをみて思ったのか、土方さんの失礼発言に思わず眉間に皺がよる。


「一人暮らしの貧乏学生は自炊しないとやっていけませんから。」

「ははっ、悪い悪い。お前はしっかりしてるからそういうとこはちゃんとしてそうだよな。」


笑いながらぽんぽんと土方さんが私の頭を叩いた。


あれ、背後からなんか黒いオーラを感じる。


「土方さん、遊んでる暇があるなら一君のお手伝いしてあげてくださいよ。」

「あ?」

「しばらく使われてないコテージだからって寝る部屋とかお風呂とか掃除してくるって一人でやってますよ。」

「斎藤が?わかった。」



総司にしては至極真っ当な意見だ。
土方さんもそう思ったのか、何も言わず一君を探しに行った。



「総司?」



振り向くと同時に私の頭に総司の手がふってくる。
わしゃわしゃと撫でられるというよりぐしゃぐしゃにされた。



「ちょっと!ぼさぼさになる!」

「…ごめん。」



総司は謝ると撫でるように手櫛で髪をとかしてくれた。



「どうしたの?」

「簡単に触られないで。」

「え?」



それだけ言うと照れたように目を伏せ、そのまま具材を串に刺す作業に戻った。




これは。


やきもちですか!?!?


甘い総司さん降臨ですか!?



「えへへ。」



嬉しくなって総司に体当たりすると何遊んでるのと冷ややかな目で見られた。



怖くなんかないし。
ツンデレめ!




×
- ナノ -