「「「………。」」」


ドアから三人登場。
そして目の前の光景に動きが止まる。



だって。

顔に紅葉マークつけた金髪の先輩が。

私を後ろから羽交い締めするかのように抱きしめているから。


まずいまずいまずいまずい。


特に総司が!!!!!


違うから!私は総司だけが好きだから!!!



という涙の叫びは。



「た…助けて。」



とこれまた危ない誤解を生みだしてしまう台詞となって生まれた。ま。誤解ではないけど。


「何してるんですか。」

「美月に触るなよ!!!」

「はなせ。嫌がっている。」




言うより早く一君が私をひっぱってくれ、平助が私の前にでて庇ってくれる。


ありがたいんだけど。


だけど一歩も動かないめちゃくちゃ怖い顔をしている総司が恐ろしいです。




「ちょっとあんた何してんだよ!」

「後輩を呼びだしておいてこれはどういうことですか?」



思い切り怒鳴ってる平助より敬語の一君のほうが怖いけど、風間さんはなんてことないように話す。



「貴様らがレポートをうつしあったのではないかとそいつに聞いていただけだ。まぁ、今となってはどうでもいいことだ。今俺の女になれと言っていた。」

「はぁああ!?!?」

「帰るぞ、美月。こんなところこれ以上いる必要はない。」

「うん。」



一君に手をひかれ、部屋をでると思った時。


「この子。僕のなんで。」


総司に抱き寄せられた。


「総司!?」

「この子に近づかないでくださいね。次は容赦しませんよ。」


そう言うと私を外へ連れ出した。
平助や一君がぽかーんとしてたのが見えた。



風間さんがどんな表情をしていたかわからなかったけどとりあえず助かった。
もう二度と近づきたくない、あの金髪。



「総司。」

「美月はなんでそんなにすきだらけなの!?」



怒ってるよ。
え?これ私悪いの?


研究棟からぐんぐん離れ、私達は建物から中庭へと出た。



「あの、ごめんなさい。」

「それはなんのごめんなの。」

「えっと…。すきがあるらしいので。」

「自分じゃわかってないんでしょ。…はぁ。」

「そんな大きいため息つかないで〜!」

「まぁとりあえず僕のものって言ってきたし。平助君や一君の前でも言っておきたかったからいいかな。」

「あ。」



そう言えば。
一君や平助もさすがに気付いちゃったよね。

私達が付き合ってること。


「おーい!総司!美月!」


平助と一君が追いついた。
二人とも少し息が上がっている。


「あ、二人とも。さっきはありがとうね。」

「いや、俺達が間に合ってよかった。」

「それにしても総司さ。さっきの。」

「あ。」

「まぁ、黙っていたけど…。」



総司が説明をしようとした時だった。



「とっさによくでたよな!あー言っておけばあの先輩ももう美月につきまとわないよなぁ。俺も言っておけばよかったなぁ。」

「え?」

「彼氏がいるってことにしておけば手をだしてこないと思ったのだろう?機転がきいたな。」

「あのさ、二人とも。」

「俺の女に手だすな!とかドラマみたいなこと言えば良かった〜。」

「平助では芝居がばれてしまうだろうな。」

「ひでー!一君!」



けらけらと笑う平助と少し微笑む一君。

あれ。

二人とも気付かないんですか。

それとも私達が付き合っていそうという発想すら頭にでてこないんですか?


あ、総司が頭をおさえてる。



「ま、いっか。」

「よくないんだけど。」

「でも次からレポート少し考えなきゃな、まる写しはやばいってことか。」

「え?平助まるまるうつしてたの?」

「あ、うん。」

「お前が原因かー!!!!!」

「少し内容を変えて書け。」

「違うでしょ、一君。平助は次から一人でやってよね。」



総司と一君が私の腕をひっぱり校舎へ戻っていく。


そして中庭には。



「え!?ちょ!ごめんって!待ってくれよ!」



一人残された平助の悲しい叫びが響いたのだった。






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