「一君!!!!」


リフレッシュルームに入り、まっすぐ一君へ向かう。
けっこう大きな声だったせいか、他の学生が何人か振り向いたがそんなの無視!


「美月、どうした?」


私の勢いに一君が珍しく驚愕しているようだったがお構いなしに近づいた。



「もう水臭いなー。悩んでるなら言ってよ!」

「悩む?」

「平助が悩んでるって言ってたから。」

「平助が?」



一君はさっきの平助との会話を思い出したのか、あぁ…と言って目の前のノートを閉じた。


「まぁ、これは俺の問題なのだが。」

「一君が悩んでるなんて私もなんだかつらいよ。いつもレポートでお世話になってるし、なんでも言って?手伝うから。」


目の前でぐっと両手の拳を握りしめる。
私のお節介にも一君は嫌な顔せず笑ってくれた。



「そうか。では、お願いしよう。」

「うん!」



私は思わず一君の手を握る。

「がんばろうね!一君!」

「っ…!」



―バタンッ!


「ちょっと。なんで手握ってるの?」(一君、今日の部活楽しみだね。)

「一君、俺も手伝おうか?」(ずりー!一君!!!)

「なんだ、悩みがあるなら俺が聞いてやるぞ。」(とりあえず、手はなせ。)

「そうそう。俺達をいつでも頼ってくれよな。」(美月ちゃん!!!なんて無防備なんだ!!)

「あれ?みんな。」

「あ…あぁ。何かあったらお願いする。」



ベリッと音がなりそうな勢いで私の手は一君から引きはがされた。もちろん総司によって。


なんだなんだ、みんなやっぱり心配なんじゃん。



そして授業も終わり、いつも通り部活の時間になった。
とはいっても一君は何も変わらない。
しいていえば総司が少し荒れてたぐらいで部活は終了してしまった。



「どっかで飯くってこーぜ!」

「お、いいな。いくか!」

「美月もいこう。」

「うん!あ、一君は…。」

「俺は用がある。また明日。」

「え?あ、うん!明日!!!」



そう言って一君は先に帰って行った。



もしかしてもしかすると。
好きな人と会うのかな!?
気になるけどがんばれ!一君!!!



心の中で応援をして私はみんなとご飯を食べに行った。





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