「おもしろかったねー!」

「そうだね。」


今日は総司と映画を見に来ていた。
なんかこういうのデートっぽい!!


友達期間は長いけど、恋人期間はまだ一ヶ月たっていない。
だからこういうデートみたいなお出かけがとても嬉しかった。


「夕飯にはまだ早いし、その辺歩こうか。」

「うん!!!」

「だいぶご機嫌だね。」

「え?うん!だって楽しいから。」

「映画そんなに良かった?」

「映画もだけど。こうしてデートできるのが楽しい…あ。」


今ものすごく恥ずかしいことを言ったよね、私。
やばいやばい、顔が赤くなりそう。


「美月?」


気付かれたくなくて下をむいた。
だけど。わざとなの?ってぐらい思い切り覗き込んでくる。


「そういう可愛いこと言わないの。照れるでしょ。」

「うっ。」


なんだか最近総司が甘い。
付き合いだしてから日々甘くなってる気がする。


恥ずかしくなって歩く速度を速めた。


「あ、こら。待ってよ。」


手をつながれる。
総司の手はあったかくて好き。
まさかこんな風に手をつなげる日がくるとは思わなかったな。



「あ。」



視界にゲームセンターが入った。
外からも見えるぐらいたくさんのプリクラ機がある。
高校生の時よくとったな。
大学に入ってからは回数減ったけど。



総司ととりたいな…。




「とりたいの?」

「え?!」

「じーっとみてるから。プリクラ。」

「えーっと…。でも総司あぁいうのあまり好きじゃなさそう。」

「あのね。僕が好きじゃなさそうとかじゃなくて。美月がしたいなら言ってほしいんだけど。なるべく美月の望むことはかなえてあげたいって告白したときに言ったと思うけど。」



なっなんなの!この人!
ずるいよ。


「じゃあとろっか。ほら、いこ。」

「うん。」


総司に手をひかれゲームセンターに入る。
たくさんプリクラ機があって迷ってしまう。


「どれにする?あんまりわかんないんだけど。」

「ごめん!私もあまりわかんない。」

「ははっ。なんか高校卒業すると一気に年とる気がする。」

「確かにー。こういうの疎くなるよね。」


私たちは適当に一台選び、中に入り込んだ。
お金を入れてスタートさせる。


「総司はプリクラとったことあるよね?」


一度目の撮影が始まる。


「友達と何回か。でも男なんてそんなにとらないと思うよ。」


二度目の撮影。
総司にほっぺたをのばされる。

「ちょっとー!!!」

「はは。可愛い可愛い。」

「あれ?じゃあ彼女は?」

「とってない。だってこういうの好きじゃないし。」


私とはとってくれてるのに?
どうしようすごい嬉しい。


何回か撮影が終わり、次が最後だよと機械が教えてくれる。


「私、好きな人ととってみたかったから嬉しいな。」

「そこで彼氏じゃなくて好きな人とか言っちゃうからずるいよね、美月って。」

「え??」


カウントダウンが聞こえて。
笑おうと思ったら。
思い切り引き寄せられた。


「んっ!?」


最後の撮影は。
総司にキスされた。



次は落書きコーナーに移動してねーという機械音が聞こえる。
なのに、総司は離してくれなかった。


「んっ…そう…んん!?!」


え?え?え?
何これ!?
しっ舌!?
どうするの!?どうすればいいの!?


「逃げないの。口あけて。」



えーーーーーー!?
いき!いきが!!!


「っそうじ…くるし。」

バンバンと総司をたたくとやっと解放される。

「総司?」

「ラクガキ、しにいこっか。」

「へ?」


そう言うと私の手を掴んで総司はラクガキコーナーへ移動した。

いや、正直それどころじゃないんですけど。
心臓がうるさくて死にそうなんですけど。


「これって…あ、こうすればいいのか。」


ブツブツ呟きながら総司がとり終わったプリクラにラクガキをしていく。
といっても日付スタンプ押したり、星とかハートとかつけてるぐらいだけど。
私も心臓バクバクいわせながらなんとかラクガキをしていった。




が。





最後の最後に残っていた。
キスしたプリクラ。



ただでさえ恥ずかしかったのにいざ画面に大きく出されるとどうしていいかわからない。



心の中であわあわしていると総司が覗き込んでくる。


「どうしたの?それ、ラクガキしないの?」

「だって。」

「あはは!美月真っ赤。」

「総司がいきなりあんな…。」

「あんな?」

「なんでもない!!!」


私はハートのスタンプを押しまくるとラクガキ終了のボタンを破壊する勢いで押した。




×
- ナノ -