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「あ…あのさ。名前。俺、お前のこと…。」

「私ね、平助君。斎藤君のことが好きなんだー。」


夕焼け色に染まる教室で。
俺の恋が…終わりを告げた。











放課後二人で残っていることは珍しくなかった。
俺達は高校に入学してすぐ同じクラスになって、席も近くて話すようになった。
音楽とかマンガとか好きなものが一緒で仲良くなるのに時間なんてかかんないだろ?
二年生にあがっても関係はそのまま。
でもいつからか俺はあいつのことが好きで、一緒にずっといられたらなんて甘く考えてた。
一番近くにいるのは自分なんて勘違いしてたんだな。




「で、平助は告白する前に振られたと。」

「うるせーよ。振られてねえよ。」


がっくりと机に突っ伏している俺の話を静かに聞いていた総司はそれまで黙々といじっていた携帯をポケットにしまうと俺の頭をつついて言った。


「告白する前に遮られて、しかもじゃあ応援してやるよとか強がり言っちゃったと。」

「うるせーよ。」

「馬鹿なの?うまくいっちゃったらどうするのさ。」

「…じゃあ総司だったらどうしたんだよ。」

「そうだね。一君には好きな人がいるから諦めたほうが良いよって言って、時間をかけておとすかな。」

「…俺には無理。」

「だろうね。で、応援するわけ?わざわざ好きな子の恋路を?本当にくっついちゃうよ?」


つむじ押し続けんなよ。背が縮むだろうが!って。
いつもの俺なら振り払うんだけどそんな元気もない。
自習中で騒がしいことをいいことに教室でこんな相談しちまうなんて俺も相当落ちてる。

応援?
したくねえに決まってんじゃん。しかも相手は一君。勝ち目ねえよ。
でもさ、あいつ本当に嬉しそうに話してたから…。


「あいつが…笑うじゃん。うまくいけば幸せじゃん。」

「…で、君が一人で泣くわけ。…ほんと馬鹿だね。」


最後はつむじへの攻撃じゃなくてぽんと軽く叩かれるだけだった。
やめろよな、そういうの。
俺こんなとこで泣きたくねえよ。




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