1


いつかこんな日がくるのはわかってはいた…が、いざその日を迎えるとなると何とも言えない気持ちになるもんだな。

「左之助さん。行きましょう?」

「ああ。」

名前に促され、部屋へと入る。
大きな窓から差し込む光で一瞬目が眩んだが、目の前の姿に息をのんだ。


「名前…。」

「え?」


そこにはあの日の名前がいた。
綺麗なドレスに包まれた、あの日の名前が。




俺と名前は会社で出会った。
そんなに大きい会社じゃない。新入社員が入れば名前は全て覚えられるほどの人数だ。
入社三年目、そろそろ指導係とかまわってくるんだろうななんてぼんやり考えていた俺に案の定、上司の近藤さんから新入社員の指導を任された。
営業だからてっきり男だと思っていたら俺の担当はなんと女。
しかも小柄でふわふわしていて営業なんてできるのかと不安になるような子だった。

でも俺の心配は杞憂だったらしい。
仕事は一生懸命覚えたし、得意先に行ってもおどおどすることなくちゃんと対等に相手と話をしていた。

俺の後ろをいつもついてきて新八になんだか親鳥と雛みたいだななんて言われていたのにな。

いつの間にか、あいつから目が離せなくなっていたんだ。


≪ |


[Back]

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -