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沖田がお盆をテーブルに置いて座る。
「一君はコーヒーでいいでしょ。名前ちゃんはメロンソーダ、千ちゃんは紅茶。僕はアイスココアで平助は…これ。」
「な…何だよ、これ。」
「カルピスとオレンジジュース混ぜたやつ。」
「混ぜなくていいし!…まぁ飲めそうだけど。」
「いやいや、そうじゃなくてさ沖田。あと一つ。飲み物じゃない色したものがあるんだけど。」
「え?全部混ぜだよ。みんなやるでしょ。」
「やるかそんなもん!!!」
完全に迷惑行為!
誰が飲むのよこれ!!!
「沖田君、それ、誰が飲むの?」
私の心の叫びを聞いていたかのように千が恐る恐る聞いていた。
それに沖田は無駄に爽やかな笑顔で答える。
「うーん、じゃんけん?」
「総司、誰も得をしない。やめておけ。」
「俺も飲みたくねえもん。やだよ。」
「私も…遠慮するわ。」
「私もやだ。」
全員が試合放棄してしまえば誰も飲む必要がない。
やっぱりみんな常識人だもの。目の前に置かれた自分の飲み物に手をつけていた。
「じゃあさー。じゃんけんで負けた人はこれを飲むか…みんなからの質問に一つ答える。」
「「え?質問?」」
沖田の言葉に平助と千が反応を示す。
あれ…おかしい空気だぞ。
斎藤もそう思ったらしく眉間に皺を寄せている。
「そうそう、負けても質問に答えればいいだけ。どうしても答えたくなかったら飲む。簡単な遊びだよ。」
「でも質問って…。」
「千ちゃん聞きたいことあるんじゃない?平助も。目の前の付き合いたての二人に。特に何聞いても答えてくれなそうな一君とか…。」
う…千と平助が楽しそうな顔をしている。
わ、私もちょっとだけ気になる。
だって斎藤が負けたら何でも質問していいんでしょ?
何聞いても答えなきゃあれ飲むんだもんね?
「それおもしろそうだな!やるやる!」
「負けても質問に答えればいいのよね?やるわよ名前!」
「ええ!?千がノリ気!?」
「…俺は断わ…。」
「一君参加しないならこれ一気飲みね。」
斎藤に返事をする時間を与えずじゃんけんの掛け声をかける沖田が恐ろしい。
「じゃーんけーん…。」
「「「ぽい!」」」
わかってましたよ。
こんなことだろうと思ってましたよ。
私がパーで、みんなチョキね…はいはい。恐れるものなど何もない!