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「俺は本屋へ寄る用がある。だからここで…。」
「ええ!?」
「はーい。気をつけてね。一君。」
あの後、結局三人で教室に残り、勉強をすることになった。
といっても沖田は携帯をいじってばっかりで勉強をしているのは私と一。
なのにこいつそれなりの成績をとってるんだよ(古典以外)なんなのって思う。
二時間ほど勉強をしてそろそろ帰るかと学校を出た時、一が本屋へ行くと私達の家とは逆方向へ向かってしまった。
「あ、一…私も…。」
「ほら、帰ろう。名前ちゃん。」
一の後を追おうと思った私の腕をがっしりと掴み、沖田は家の方へと歩き出した。
ずるずると引きずられながら、私は一の後姿を恨めしく見ていたんだ。
「一君、気を利かせてくれたんだね〜。」
「んなわけないでしょ。一は何も考えてないよ。」
「そうかな?」
「そうなの!」
相変わらず腕をひいたままの沖田の手を振り払う…ように振っているのに全然離れないんですけど!!はーなーしーてーよー!!!
「名前ちゃんどうしたの?そんなに腕ふって。」
「あんたが手を離さないからでしょうが!!」
「何で僕が手を離さなきゃいけないのさ。」
「もー!!」
話にならないし、どうせ何言ってもこのままだ。
大人しくしよう。こいつの思うつぼになる。ニヤニヤ笑ってるしね。
「あ、ねえねえ甘いもの食べたくない?」
「甘いもの?」
「アイス食べよ、アイス。」
普段だったら無視して帰るんだけど。
勉強して疲れたし、正直甘いものが食べたくなった。
アイス…魅力的な言葉だ。
別にアイスを食べて帰るのなんて友達とだってするし、ま、いっか。
「いいけど。」
「え?」
「え?って何よ、あんたが聞いたんでしょ。」
「まあ…断られると思ってたから。じゃあデートしようか。」
「デートじゃない!!!」
私が叫ぶように言うと沖田は一瞬目を丸くしていたけどすぐにクスクス笑い出した。
この余裕な感じが腹立つのよ!!!