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「俺は…名前さんが…好きです!」

「え!?」

「は!?」

「名前さんが俺に少しでも好意を持ってくれる可能性があるのなら…認めていただきたいのです。」


俺は真っすぐに原田先生を見て伝えた。
驚きを隠せない表情で二人は顔を見合わせ、すぐに俺を見つめる。


「そして、俺はあんたの理想の男に近づけるよう努力する。だから…俺のことを少し考えてもらえないだろうか…?」


俺は名前の目の前に立ってそう伝えた。
彼女は相変わらず目をぱちぱちとさせながら俺を見ている。


「俺はずっと…あんたのことが好きだった。」

「一…私…私ね。」

「返事は急がない。俺は待つつもりだ。」

「そうじゃなくて!!!」


名前はちらりと原田先生を見ると彼は苦笑いを浮かべて立ちあがった。
そしてそのままリビングのドアへ向かう。


「おい斎藤。」

「はい。」

「お前意外と度胸あるじゃねえか。俺に直接言ってくるなんてな。まあしばらく見守ってやるよ。」

「え?」

「ただし、手だしたら殺す。」


そう言って原田先生はにやりと笑うと部屋を出ていってしまった。


「お兄ちゃん…。」

「認めて…もらえたのだろうか?」


原田先生のお許しをいただけたとして、後は本人の気持ちだ。
だがこれは俺の努力次第だろう。
これから彼女に自己アピールをするしかない。


「初めてかも。お兄ちゃんが認めてくれたの。」

「そ、そうか。」

「相談しておいて正解かな。」

「相談?」

「私、最近好きな人ができたって。」

「なっ!?」


今なんと?
好きな人が…いるのか?


「私の気持ちが本気ならお兄ちゃんも考えてくれるかなーと思ってね。でもお兄ちゃんは相手がちゃんと私のことを大切にしてくれないなら認めないの一点張り。どうしようかなって考えてた。」

なんとなく力が抜けて俺は近くのソファに座りこむ。
すると名前は椅子から立ち上がり俺の隣に座った。


「嬉しかった。一の言葉。私のこと好きってだけじゃなくて、お兄ちゃんにも認めてもらいたいって言ってくれたから。」

「え?」

「だって付き合うにはどうしたってあのお兄ちゃんがついてくるもん。だいたいの人はびびっちゃうのに一はちゃんと向かってくれたから。」

「俺は…あんたも大切だがあんたの家族も大切だ。」

「うん。一ならそう言ってくれるって信じてた。だからね。」


――これからよろしくお願いします。


そう言った彼女の笑顔が
やっぱり俺は好きだと思った。



―対極の位置にあり―



(それにしても、俺と原田先生ではタイプが全く違うと思うのだが…。)

(え?そうかな。優しいよ、二人とも。)

(俺は原田先生のようになれるのかととても不安になったのだ。)

(一はそのままでいいよ。ううん、そのままでいてね。)

(承知した。)




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