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俺は本気で名前が好きだ。
大切にしたいと思っている。
だったらこれは乗り越えなくてはいけない壁なのではないか?
まずは兄に認めてもらわないことには始まらないのではないだろうか。


「原田先生…。」

「ん?どうした?」

「あの…。」


よし。言え。妹さんのことが好きですと。
彼女の気持ちが少しでも俺にあったら交際を認めてほしいと。




「どのような人なら認められるんですか。名前さんの恋人に。」




違う!
そんなことを聞きたいわけでは…!いや、それはそれで気になるが。



「どんなって…基本的にどんな奴でも嫌だけどよ。名前が本気になったら仕方ねえからな。あとは名前のことを傷つけないような奴なら任せるしかないだろ。」

「お兄ちゃん…。」


ただのシスコンだと思っていたが…意外とちゃんと考えていたのだな。



「お前もどんな奴が好きなんだ?」

「え?」



原田先生、いい質問です。
シスコンとか言ってすみませんでした。



「えっと…その…なんだかんだ言ってお兄ちゃんみたいな人かなぁ。」

「お前…。」



兄妹だ…。
間違いない、兄妹だ。


厄介なのはシスコンの兄じゃない、ブラコンの本人だった。



原田先生みたいな人。
俺と対極の位置にあるではないか。
何事にもスマートで女子生徒にはいつも黄色い声援を受け、だからといって男子生徒からの信頼がないわけでもない。
大人の色気というものが常に漂っている男だ。


どうやってああなれと。



「おい、斎藤?斎藤?どうした?」

「一?さっきから様子がおかしいよね。どうしたの?」

「原田先生…。」

「どうした、何かあったなら相談に乗るぞ。」

「俺を…弟子にしてください!!!」

「「は?!」」



仕方ないではないか。
俺一人ではどう考えても原田先生のようにはなれぬ。
だとしたら本人に学ぶのが一番だ。


「は…一!?」

「斎藤?お前一体何を…。」

「俺、原田先生のようになりたいのです。だからどうすればなれるか教えていただきたい。」

「いや、お前と俺じゃタイプが違うというか…どちらかというと土方さん目指した方がいいんじゃねえか?」

「いえ、土方先生ではだめなのです。原田先生じゃないと…。」

「おいおい、どうしたんだよお前。」

「原田先生にならねばいけないのです!」

ぐっと拳に力が入る。
ぱちぱちと瞬きをしている二人はただただ俺を見ていた。


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