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「だったらお前が…俺を支えろ。」

「土方さん?」

「多分わかっているだろうが、俺は新選組のことを一番に考えちまう。お前のことをずっとかまっているわけにはいかねえ。だから…何も言わないままでいようと思った。だけどな。それでもかまわねえって言うなら、それでも俺を選んでくれるなら…。」

「っ…。」

「俺の傍にいろ。名前。」


どういう…ことなの?
土方さんが私を選んでくれるなんて。


「どうして?どうしてですか?土方さんっ。どうして私を…。」

「むしろ俺は何で俺が千鶴を好きだと思っていたのか知りてえよ。」

「だっていつも差し入れしてくれたり、話し相手になってやれとか…。」

「お前にしてたんだろうが。それから…お前は仕事をがんばりすぎるところがあるから俺がああでも言えば休むだろう?それで千鶴の話し相手に…。」

「うっ…うう…。」


なんですか、全部私の為なんですか?
じゃあ千鶴ちゃんと沖田さんが私達が結ばれればいいと話していたのは沖田さんは土方さんの思いを知っていたからですか?


「名前。俺はいつ死ぬかもわからねえ身だが…。お前のことは絶対に守ってやる。だから…。」

「はい。」

「ついてきてくれるか?」

「そこは、ついてこいですよ、土方さん。」

「…ついてきやがれ。」

「はい!」


目の前の土方さんにしがみついて頷いた。
ふわりと髪を撫でる手が優しくて、愛しくて。
この人に一生ついていこうと思いました。


「名前…。」

「土方さん…。」


頬に手を添えられて顔をあげられる。
これは…もしかして…?
ゆっくりと目を閉じた。


閉じたんだけどね。


「はいはい、千鶴ちゃんにはまだ早いから見ちゃだめ。」

「ええ!沖田さんずるいです!」

「総司、人の部屋を覗くのは悪趣味だ。」

「じゃあ一君あっち行きなよ。なんでここにいるのさ。」

「俺は副長に報告が…。」

「ほら、静かにしろよ。聞こえちまうだろ??って新八っつあん押すなよ!」

「こんなの滅多に見られねえじゃねえか!平助頭下げろ。」

「うるせえよ、新八。さすがに聞こえ…てんな、こりゃ。俺巡察行ってくるぜ。」

「え!?左之さん待って!俺も行くから!!」

「あ、左之さんと平助逃げた。僕達も逃げるよ、千鶴ちゃん。」




小声で話す気あるのかなってぐらい大きなひそひそ声。
ゆっくり目を開けるとこめかみをぴくぴくさせながら静かに怒っている土方さんがいて。



「てめえらああああ!何してやがる!!!」



鬼の怒鳴り声にみんな蜘蛛の子を散らすように逃げ去って行った。
いつから見ていたんだろうと思うと恥ずかしくて仕方ないんだけど今は嬉しいからいっか。


「あいつら…。」

「困っちゃいますね。」

「名前、俺はまた少し外に出てくる。あいつらの飯、今日は半分で良い。」

「地味に厳しい罰ですね、それ。」

「うるせえ。」


見られて恥ずかしかったのか、土方さんが珍しく顔を赤らめていた。
すっと立ち上がり荷物を持って部屋を出ようとするので私も立ち上がる。


「これからのことは後でゆっくり話すぞ。」

「え?」

「…いってくる。」

「!?」


部屋を出る瞬間、さらりと口づけをされた。
振り向かずにスタスタと歩いて行ってしまう土方さんの背中を見つめて、私は口をパクパクすることしかできないのでした。


―あなたの為なら―



(ただいま。)

(おかえりなさい。)

(ゆっくり決めるか、これからのこと。)

(はい、お茶、淹れますね。)







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