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「わあ!おまんじゅう!」

「土方さんがくれたんだよ。」

お茶を淹れて千鶴ちゃんの部屋へ行くと彼女はとても喜んでいた。
勝手に屯所を出ることができないなんて不便だろうな。
きっと女の子らしいこともしたいだろうに。

おまんじゅうとお茶を渡すとありがとうと受け取ってくれた。
本当に可愛らしい。土方さんにぴったりだと思うの。


「土方さん…千鶴ちゃんが心配なんだよ。」

「土方さんが??」

「最近こうしてよく差し入れくれるじゃない?貰ったなんて言ってるけど違うと思うんだよね。」

「うーん…そうなのかな〜。別に私の為に買ってきてるんじゃないと思うよ?」


千鶴ちゃんが苦笑いを浮かべた。
ああ、土方さん。やっぱりこんなささやかな方法じゃ全く伝わっていないんですよ。
もっとたくさん、直接話しかけなきゃ!!


「土方さんって、素敵だよね?」

「え?」

「誰よりも新選組のことを考えてるし、頭良いし、厳しいけど自分にも甘くないしさ。しっかりした大人の男の人って感じで。」


私は千鶴ちゃんに土方さんの良いところをたくさん伝える。
少しでも千鶴ちゃんに土方さんのこと考えてもらえたら…そして好きになってもらえたらいいんだもん。
私じゃできないことを、きっと彼女なら…。


「名前ちゃん…もしかして土方さんのこと…。」

「え?」


いつの間にか千鶴ちゃんが目を輝かせて私を見ていた。
あれ?
もしかして…。

「土方さんのこと好き!?」

「え!?ち…ちが…。」

「うんうん、土方さん素敵だと思う!私も応援するね!!」


し…しまった!どうしよう!!!
これじゃ千鶴ちゃんが土方さんのことを好きになるどころか…
一番の対象外にしてしまった!!!!!


「ふふふ。そうなったらいいなって言ってたの、沖田さんと。」

「沖田さんと?」

「うん!」


どうしようどうしよう!
そんな話をしているなんて!沖田さんの作戦!?千鶴ちゃんから土方さんを遠ざけよう作戦!?
だめだめこのままじゃ私のせいで土方さんの幸せが…!


「ち…千鶴ちゃん!違うの!私は土方さんのことは…!」

「ふふ。照れてる。可愛い名前ちゃん。」


だめだ。
このままじゃ…誤解されたまま。

私はお茶を飲み干すと立ちあがった。


「名前ちゃん?」

「土方さんのとこ行ってくる!!!」

「え!?」


私は千鶴ちゃんの部屋を飛び出して土方さんの所へ向かった。


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