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神社へ通うようになってから二週間が過ぎた。
部活が終わって、いつも通り、校門のところで待ち合わせ。
「遅いな、平助。」
約束の時間になってもなかなか来ない平助に、つい私は剣道場の方へ向かってしまった。
「あれ?いない…。」
剣道場にはもう誰もいなかった。
周りに残ってる生徒もいない。
「平助〜?」
とりあえず周りを探そうと思い歩き出した時、小さく声が聞こえた。
剣道場の裏、あまり人目につかない場所だ。
「私、平助君が好きです!」
「え?」
足が自然に止まる。
建物の影からこっそり覗くと他のクラスの女の子と平助が立っていた。
今…平助のこと好きって…。
「…返事はすぐじゃなくていいから。かっ考えてください!!!」
「えっと…。」
必死に思いを伝える女の子。
困ったように目をぱちぱちさせている平助。
断んないんだね、平助。
断ってよ、平助。
自分勝手な思いがどんどん募ってきて、私は足音をたてないようにその場を去った。
なんだか涙まで出てきて前が良く見えない。
なのに私が向かった先はあの神社だった。
もはや習慣というのは恐ろしいもので、まっすぐ家に行かなかったらしい。
「神様…。もう、無理なんですけどね…それでも…。」
この思い、届けてください。
少しでも良いんです。少しでも平助が私のこと、女の子として見てくれたら…。
それだけでいいから。