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それから毎日、部活帰りに平助と神社へ寄ってから帰るというおかしなことになった。
だって好きな人と結ばれるおまじないをしに好きな人と神社行くって何…。

「お前真面目に神頼みしてんのかよ…。」

思わずぼーっとしてしまった私に横から平助が声をかける。
だってこの状況おかしいじゃん!神様も首傾げるから!
十日も通ってるけど神様絶対不審に思ってるから。


「え?あ、今から!今からするから!」

「そんなんで大丈夫か?」


呆れた顔の平助が私の隣で目を閉じて手を合わせる。


「平助…?」

「ん?」

「なんで平助も祈ってるの?」

「悪いかよ…。」


それって…
平助、好きな人がいるってこと…だよね?
一気に体温が下がっていく感じがした。


「わ…悪くないよ。」


それ以上何も言えなくなった。


そういえば平助に恋愛相談はしてきたけど、平助から相談を受けたことは一度もなかった。
今まで何も考えてなかったけど、平助けっこうもてるんだよね。
告白されているところも見たことあるし、平助のことを好きって言ってる子もいた。


「叶うと…いいね。」


何でそんな思ってもいないことが言えたんだろう。
平助を好きになる前の私だったら、きっと素直に言えたのに。


「お前もな。」


そう言って笑いながら平助は私の頭を撫でた。
ごめんね、平助。
いつも平助は応援してくれたのに、慰めてくれたのに…


私は心から応援ができないんだ。




「よーし帰るか?」

「うん。」


私達は神社を後にした。
家までは歩いて二十分。
薄暗くなってきた道を二人並んで歩く。
いつもたわいもないことを話してるんだけど…私の頭の中は平助の好きな人のことでいっぱいだった。
どんな子なんだろう。
同じクラスかな?それとも部活仲間とか。


ちらりと横を見れば前を向いて黙々と歩いている平助がいた。
小柄だけど、いつの間にか私より背も高くなって、声だって低くなった。
ただの幼なじみとしてしか見てなかった時はそんなことすら気付かなかったのに。

一度意識し始めたら最後、どんなことでも気がついてしまう。

私の視線に気づいたのか平助がこっちを向いた。

「どうした?何かついてる?」

「うん。神社から女の人の霊がずっと平助の肩に…。」

「ええええええええ!?!?」

「ついてるわけないじゃん、ばーか。」

「お…お前なああ!!!」

平助が怖がりなのは昔から変わらない。
こうして時々からかって楽しむんだ。ってか時々からかうのにいつもだまされるんだもん。


「まじやめろよ、もう暗いんだから。」

「はいはい、家まで送ってあげるから安心して。」

「俺の仕事だろ、それは。」


俺の仕事か…。
平助に彼女ができちゃったらこうして一緒に帰れないのかな…。
私が告白して、気まずくなっても…やっぱり一緒に帰れなくなるのかな。

そうだ。
告白して気まずくなったら。
今までどおりなんていられない。

そんなの嫌だよ。
だけど…ずっとこのままも…つらいよ。


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