偽恋ゲーム | ナノ

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私、廣瀬真尋。
元気な高校二年生!
好きなものはゲームとマンガ!
最近は新太君と疑似恋愛しています。


新『真尋。一緒にテスト勉強しよう!』


 「はい喜んでー!!」


ああ、現実世界にこんな人がいたらテスト勉強もどんなに楽しいことか…。
そんなことを妄想しながらニヤニヤしていると横から声がする。


斎「廣瀬…音量を下げろ。集中できん。イヤホンはどうした。」


隣で文庫本を読んでいるのは斎藤一。
かっこよくて、運動もできて(リズム感皆無だけど)頭脳明晰なスーパーボーイ。


そんな彼が私の彼氏だというのだから世の中何が起こるかわからない…。
優しくていつも私を見守ってくれるの…。


なーんて少女マンガの出だしみたいでしょ?
んなわけないよね。ないない。
現実そんな甘くない。


現に斎藤は優しく見守るどころか氷点下の眼差しをこちらに向けてきているよ。
こんなにがっつり冷たい視線よこしてくるの私にぐらいじゃない?よりにもよって一応彼女の私に。


 「イヤホン忘れたのー。少しぐらい声聞こえてもいいじゃん。斎藤も今勉強しているわけじゃないんだし。もうすぐ千と沖田も戻ってくるよ。お昼御飯の時は本しまいなさいよね。」


斎「あんたに言われたくない。そっちこそ飯の時ぐらいゲームをしまえ。」


 「わかってるよー。いつもしまってるじゃん。」


文句を言いつつ、カバンにゲームをしまうと千と沖田がお昼ご飯を買って戻ってきた。
斎藤も文庫本をしまう。



いただきますと言ってお弁当を食べ始めた。
購買のパンがどうのこうの話している沖田と千に視線をやったあと、ちらりと斎藤を見る。



今日はお弁当を持って来たらしく姿勢を正しくしておかずを口に運んでいた。
もくもくと食べながらも沖田の問いかけには淡々と答えている。


斎藤って睫毛長いよな…。
肌もそこらへんの女子よりよっぽど綺麗だしさ。
顔も頭も良いとか本当に反則だよ。不公平だ。


じっと見すぎていたのか斎藤が私の視線に気づいてこちらを向いた。


斎「…何だ?俺の顔に何かついているのか?」


 「え!?いえいえ、何も。」


斎「あまり見るな。食べづらい。」


 「ごめん。」


私は自分のお弁当箱に視線を戻した。



最近…というかきっかけはあの笑った顔を見た時からだけど。
この前の練習試合の時といい、どうも斎藤が気になってしょうがない。
気になりだすと仕草も言動も何もかも気になって。


なんか信じたくないんだけど。
これって…。
いやいやいやいやいやいやまさかまさか。
まさかですよ。この真尋ちゃんがそんな。


三次元に興味を持つ日が来るとかないなーい。


斎「ご馳走様。俺は委員会に行ってくる。」


沖「はーい。いってらっしゃい。」


そう言うと斎藤は席を立って教室を出ていった。
その姿を目で追っていると沖田の声で現実に戻される。


沖「真尋ちゃん。何ぼーっと一君見つめてるの?」


 「ええ!?」


千「ふふふ…やっぱり真尋 。斎藤君のこと…。」


 「なっないないないない!あるわけない!」


沖「へえ?僕はてっきりそうなのかと思ってたんだけどな。協力してあげてもいいのに。」


協力…。
沖田の口から協力…?ろくなことしない。


沖「今失礼なこと考えたよね?一君に言っちゃおうかなー。」


 「だから!違うって!」


いくら否定しても二人はニヤニヤしっぱなしだった。
むしろむきになるからいけないのか?

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