偽恋ゲーム | ナノ

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天気が良い!
という単純な理由で私たちは中庭でお昼ご飯を食べることにした。


沖田や斎藤は購買で昼食を買ってくると言って先に教室を出ていたので私は千と直接中庭に向かっていた。


 「うーん。良い天気!!」

千「たまには外で食べるのもいいわよね。」


そんな会話をしながら私たちは中庭へと出ていく。
するとどうやら先客がいたようで。


 「…あれ、仲良く話してる雰囲気じゃないよね。」


千「ええ。」


見ると一人の女の子を囲うように三人の女子が立っていた。
多分先輩だろう。


 「どうする?」

千「うーん…。先生呼びましょうか?」



少し離れたところにいる私たちにはちっとも気付いていないようで、先輩はどんと中心にいる女の子を突き飛ばした。


 「あんたでしょ?斎藤君の彼女って。」

 「いつもいつも一緒にいるもんね?」


え…。
今、なんと。


思わず私と千は顔を見合わせた。
斎藤一ファンクラブ…そりゃそうか。校内の方が圧倒的に多いだろうけど。
こんな連続で呼びだし現場に出くわすとは!


千「斎藤君呼んでく…ってちょっと真尋!?」


 「あの!!!」


千の言葉を最後まで聞く前に私は彼女たちの所へ走って行った。


 「何よ、あんた。」


じっと先輩に睨みつけられて思わず怯む。
うう…苦手なんだよ。こういう女子のドロドロした感じは。


 「その子は…斎藤の彼女じゃないです。」


 「は?だってこいつよく一緒にいるの見てんのよ。同じ委員だからって抜け駆けしてさ。」


ちらりと囲まれている子を見ると確かに見覚えがあった。
多分、斎藤と同じ風紀委員の子だ。

くりっとした目に綺麗な黒髪。
どう見ても美少女だった。

…これじゃ確かに間違えられても仕方ない!
斎藤の彼女って言われてもしっくりくる!


 「いや…でも違う…ので。」


?「はい。私…斎藤君とは付き合ってません!」


 「でもね、あんた斎藤君のこと好きよね?やたら一緒にいるって聞いたんだけど。」


?「えっと…それは…。」


 「あーーーもう!違うんですって!その子は関係ないし。」


 「あんたさっきから何なのよ!?こいつの友達?」


 「いや…でもその子は違いますし。それに…。」


ぐっと拳を握りしめて先輩を見た。
誰か斎藤の彼女とかそんなことどうだっていいじゃん。
そんなの関係ないでしょ?


 「好きなら…斎藤に直接言えばいいじゃないですか。」


 「は?」


 「何なの?あんた。」


 「だから!こうやってこそこそ呼びだして囲う様な真似しないで、斎藤に直接好きだって言えばいいでしょう!?」


 「斎藤君はね、みんなの斎藤君なの。抜け駆けするようなことは…。」


 「そんなこと関係あるかああ!誰がみんなの斎藤君じゃ、気持ち悪!あいつはそんなこと望んでない!!!」


あ。
やばい。
私ってば先輩に向かって…。

みるみる先輩達の表情が怒りに変わっていく。
最早囲まれていた子のことなんて目に入っていないようだ。


 「あんた…生意気なのよ!」


先輩の手が振りあげられてとっさに顔の前に手を出す。
いつになっても殴られた衝撃が走らなくて、私はゆっくり目を開けた。



そこには。
先輩の腕を掴んで立っている斎藤の後姿があった。

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