偽恋ゲーム | ナノ

▽ 3


「真尋…期待を裏切らないわね。」

「よーーし!真尋に質問か…何にする?一つだけなんだろ?」

「僕聞きたいことあるんだけど。」

そう言うと沖田は千と平助の耳元で何かを囁いた。
どうやら二人も了承したらしい。
なんだ?


「真尋ちゃんから告白したんだろうけどさ、一君はどんな反応だった?」

「へ?」

「そ…総司!真尋への質問で何故俺のことを聞く!?」

「質問内容に規制はなかったと思うけど〜?」

「くっ…。」


斎藤の反応?
そんなの話しても別に私は痛くもかゆくも…ありそうですね、はい。
横から冷たい視線が突き刺さっている感覚があります。


「えっと…そのー…普通?」

「何それ、普通って。真尋ちゃんが好きって言ったら一君も言ってくれたんでしょ?もちろん。」

「きゃー!素敵ね!そういうの!!」

「一君が!?一君が言うの!?まじで!?」


ああああ。
千も平助もやめてよー。
私何も言ってないのに怒られそうな気がする!!


「えっとー…うん。」

「良かった!良かったわね真尋!!」

千が何故か涙目で私を抱きしめる。
そこまで私のことを心配してくれてたんだね…千、大好き!!

「一君のそういうところ、見てみたいよな。」

「ねえねえ真尋ちゃん。一君はちゃんと好きって言ってくれたの?どうせ真尋ちゃんが好き?って聞いてそれにうんとか答えただけじゃない?」


沖田。
あんたどっかで見てたの?


「真尋。」

すぐ横から斎藤の声が聞こえたかと思ったらぐいっと引き寄せられた。
手…ててててて手が!私の口元覆ってるんですけど!!


「あんたはこれ以上喋るな。総司、質問は一つだけのはずだ。」

「別に無理強いはしないけど。真尋ちゃんも少しは話したいんじゃない?せっかく付き合えたのにさ。」


確かに…それは一理ある。
だって初めての恋、初めてのこ…恋人。
みんなにはお世話になってるし、いろいろと話したいことも…。


「必要ない。」

「さ…斎藤。私少しは…。」


どうにか口を覆っていた手を外し、体の向きを変えて斎藤の方を見る。


「あんたは余計なことを言いそうだからな。黙っておけ。」


わかりますよ?
私も斎藤のことずっと見てたから。
これは照れ隠しなんだって。視線を逸らすのは照れてる証拠なんだって。
だけど…。



「大好きな彼女に何よその言い方!?」

「だ…誰が≪大≫をつけた!勝手につけるな!」

「…好きとは言ったのね。斎藤君。」

「ち…違う!」

「往生際が悪いよねー。別にいいじゃない。彼女なんだから。」

「そうそう!大好きな彼女に大好きって言って何が悪いんだよ!」

「平助…それ以上言うとその前髪削ぎ落とす…。」

「ちょ!なんで俺だけ!?」

「やだなあ一君。削ぎ落とすのは前髪じゃなくてうなじでしょ?流行り的には。それに巨人狩るならまだしも小人狩ってどうするの。」

「総司ーーーー!!!」


お腹抱えて笑ってる沖田の肩を平助が思い切り叩いている。
でも本気で殴りかからないのが平助だよね…。
ごめん、私も笑いそう…。


その後。
沖田特性ドリンクは斎藤の手によってさっさと処分され…
じゃんけん質問大会はその一度きりだった。

今度の休みにどこかへ行こうという話にすぐ切り変わり、私達の話はどこかへ飛んで行ってしまった。

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