▽ 2
沖「ちょっと真尋ちゃん。何で悲鳴あげるのさ。」
平「よっ!俺も昼飯混ぜてくれよー!」
斎「…何かあったのか?」
さっきまで考えていた斎藤が目の前に現れて私は再び小さく悲鳴をあげた。
すると斎藤は眉間に皺をよせてまた何かやったのかなどと失礼な事を言ってくる。
「何もしてません!」
斎「ならいいのだが。」
千「ふふ。さ、お昼食べましょうか?」
平「腹減ったー!!」
適当に机をつけてそれぞれが席に座る。
お弁当を食べようとした時、沖田がそう言えばと口を開いた。
沖「真尋ちゃん。もうすぐ誕生日なんでしょ?」
「げほっ!!」
千「あら?どうして沖田君知っているの?」
なんというタイミングだ。沖田。
わざとじゃないのか、沖田。
沖「さっき教室で女の子達が騒いでたから。」
「あ…うん。まあ。」
平「へー!いついつ?」
沖「土曜日でしょ?」
「うん。」
平「そっかぁ。土曜日かー。部活なかったら俺達お祝いできたのにな。」
平助が残念そうにそう言うと沖田が笑いながら続ける。
沖「まあ別に部活なくてもわざわざ休みの日に真尋ちゃんをお祝いにいかないけどね。」
「腹立つー!!いいんです。両親がお祝いしてくれるんですぅー。」
実際その通りでお父さんなんて一ヶ月ぐらい前から楽しみにしてるよ。
まあ高校卒業しちゃったら家にいないかもしれないし、今ぐらいは付き合ってあげないとね。
平「でもさ!なんかプレゼントは用意するよ俺!」
「え!?プレゼント?」
平「あ、そんなすごいの期待するなよ?気持ちだからさ。」
そう言ってニッと笑う平助が天使に見えた。
なんって良い奴なんだ!君は!
沖「ふーん。じゃ僕も何か用意しようかな。」
「…怖い、いらない。」
隣で微笑んでいる人が悪魔にしか見えなかった。
だって絶対ろくなもの用意しないでしょ!?
沖「どうしてそういうことしか言えないのかなーこの口は。」
「いたたたた!」
右隣に座っていた沖田に思い切り頬を引っ張られた。叫び声をあげていると左側から総司と低い声が聞こえ、腕を引っ張られる。どうやら斎藤が引っ張ってくれたらしい。
斎「やめておけ。あんたがプレゼントなどと言えば誰でも同じ反応をする。」
沖「ひどいね、一君まで。別に友達にプレゼントあげたっておかしくないでしょ?一君は?」
斎「は?」
沖「彼氏は何をあげるのかなーって。」
斎「俺は…。」
「ちょっと沖田。斎藤は本当の彼氏じゃないんだからそう言うこと言わないの。…斎藤、気にしないで。」
どうしてそんな台詞がスラスラでてきたのか自分でもわからない。
ただ、多分だけど期待したくなかったからだと思う。
どうせ何もないんだ。
何かが起こるはずがない。
だとしたら自分から先に可能性を消してしまえば良いんだと思う。
そして私は斎藤の返事を聞く前に違う話題を切り出した。
近くにできたファーストフード店の話に平助や千がのっかってくれてうまいこと話題はそちらへ移行していった。
そのまま放課後にそこへ行ってみようということになり、私達の昼休みは終わりを告げたのだった。
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