▽ 1
困ったぞ、真尋。さあどうする?
今、私の席の周りには数人の女子がいる。
というのもさっきまではみんなで楽しく話をしていたんだ。
今度の休みは何をするだの、最近でたおもしろいマンガだの、アーティストの話だの…。
女子高生らしい会話を楽しんでいた…のに。
友「もうすぐ真尋ちゃん誕生日だよね!」
一人が私の誕生日を覚えていてくれたのか、突然そんなことを言いだした。
覚えててくれて嬉しいーなんて答えていると隣にいた子がすかさず質問をしてくる。
友「土曜日だよねー!?真尋は斎藤君とどこかいくの?」
え。
斎藤?
あ、そうだよね。彼氏だもんね。
そんなことを自分の中で再確認していると周りがどんどん盛り上がりだした。
友「斎藤君、プレゼント何くれるんだろうね!?センス良さそう!!」
私だけ置いてけぼりでみんな楽しそうにきゃいきゃい騒いでいる状態だ。
「あ…あの…ですね。」
友「何もらったか教えてね!」
友「できればデート内容も!!」
友「きゃーー!斎藤君とデートとかうらやましい!!!」
「だ…だから…。」
だめだこれ。
もう全然聞いてないよ。
デートどころか会う約束もしてないし。
そもそも、一番重要なことはね。
あいつは私の誕生日など把握していない!
言い訳しようとした瞬間、チャイムが鳴ってみんな席に戻ってしまった。
(えぇ…。どうしよう。)
授業が始まっても、私の頭の中はさっきの会話でいっぱいになってしまった。
「…ということで、どうしよう。どうごまかそう?」
千「ごまかすって…あなたねぇ。」
昼休みに私と千は先に空き教室へ移動していた。斎藤や沖田は購買に昼食を調達しにいっている。
「だってさ!プレゼント貰うどころかあいつ誕生日すら知らないよ。」
千「言えばいいじゃない。」
「嫌だよ!そんな催促してるみたいな…。」
彼女でもないのにさ。
図々しいにもほどがあるよ。
…って何だか自分で言ってて悲しくなってきた。
これ、やっぱり私あいつのこと…。
千「好きな人に貰えたら嬉しいわよね。」
「そりゃそう…って…え?」
千「真尋。やっぱりあなた斎藤君のこと…。」
「え?え?い…いや…ちがっ!」
千が目をキラキラさせてこちらを見ている。
仲間にしますか はい
→いいえ
だめだだめだ!
自分で自分の気持ちを確信してから言うべきだと思う!今ここで気になるとか言っちゃったら最後、本当の本当に好きってことになっちゃいそうで…ってそんなこと考えてるってことはやっぱり私は斎藤のこと…。
――ガラッ
「ひい!」
千「あ、帰ってきた。」
パニック状態に陥っている時に教室のドアが開き、斎藤と沖田、そして平助が入ってきた。
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