偽恋ゲーム | ナノ

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千「でも沖田君。斎藤君を振り向かせるのってなかなか難しいんじゃない?女の子嫌いじゃない。」


沖「とはいっても真尋ちゃんを女の子ってものにあてはめる方が難しいし…。」


 「おい。」


沖「それに、一君も真尋ちゃんは特別だと思うんだよね。真尋ちゃんがからむと人が変わるしさ。」


 「だから。」


千「私もそう思うの!うんうん、きっとうまくいくわよー。」


人の話を聞いてくれ!!!



私がいなくても勝手に二人で盛り上がっているので私は会話から離脱することに決めた。



そんな…わかんないよ。
誰かを好きになったことなんてないし。
これが好きってやつかって聞かれてもわからないしか言えない。


それにさ、そもそもよ。
例えば…。


パターン1 卒業式までこのままの場合。

斎『今まで世話になったな。では。』

とか言われてさよなら。


パターン2 告白した場合。

斎『あんたは三次元には興味がないと言っていたのに…。』


とか言われてその場で偽恋終了されてさよなら。




…どっちにしろゲームオーバーじゃないか!!


いや、待て待て!
告白って何!?
あれ、やっぱり私…私…。



斎藤のこと、好きみたい…?



沖「…千ちゃん。真尋ちゃんが固まったまま動かないけど。」


千「…仕方ないわね。放っておきましょう。」



しばらく頭を抱えていた私は二人がいつの間にか席を立っていたことすら気がつかなかった。





授業中にぼんやりと考える。
もしもこの感情が好きだとして。
恋をしているとしたら。
私はどうすればいいんだろう?

ゲームは百戦錬磨なのに。
恋に関してはレベル0だ。冒険始めたばっかりだ。


しかも相手はラスボス級。
女子が嫌いなそっけない奴。


そっか…。
まずは女子へのあの嫌な固定観念を崩せばいいんだ。
女子の良いところを教えてあげれば…いいのかも。



授業が終わって私は真っすぐに斎藤の席へ向かった。


斎「どうした?何か用か?」


 「用ってほどじゃないけど…。女子のいいところって何だと思う?斎藤。」


斎「は?」


眉間に皺をよせて私を見上げてくる斎藤。
だけど私がふざけている様子じゃないことがわかったのか少し考える仕草を見せた。


斎「人によるのではないか?」


 「そう…だよね。じゃあ斎藤の思う良い女の子ってどんな子?可愛い子?」


斎「…そんなものは化粧でどうにでもなるのだろう?」


斎藤は教科書に視線を戻すとぱらぱらとめくりながらも私の問いかけには答えてくれた。


 「じゃあ…子供好きなとことか?」


斎「それは男女関係ないだろう。必要以上にはしゃいでいるのを見ると子供や動物が好きな自分が好き…というようにしか見えん。」


 「ええと…じゃあ優しいとこ?」


斎「それも男女関係なく…先ほどからあんたは何が言いたいのだ?」


くっそ…。なんて手強いんだ。斎藤め。
呆れたような目線を投げられ何も言えなくなってしまう。

この男が納得する女子なんてこの世に存在しないんじゃないの?


 「何でもないっす…。」


斎「?」


私は静かに引き下がることにした。

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