▽ 2
「さ…斎藤君!?」
?「斎藤君…。」
斎「先輩方、後輩を殴りつける行為を俺は見逃すわけにはいかないのですが…。土方先生に報告させていただきますよ。」
「そ…それはっ!」
斎「謝罪してもう彼女に手をださないと仰るなら…一度だけ見なかったことにします。」
「…悪かったわね。行きましょ。」
そう言うと先輩達は走るように去っていった。
斎藤君に触られちゃったーとか叫んでいるところを見ると反省の色はない…な。
?「斎藤君…。」
残された彼女から可憐な声がした。
彼女を見ると目をキラキラさせて斎藤を見ている。
あ、これ、完全に好きだよね。
危ないところを助けてくれたヒーローのように斎藤を見てるもん。
斎「…あんたは!」
「あいたっ!」
べちっと私のおでこから音がした。
斎藤の手が私の額を叩いたのだ。
斎「前にも言っただろう。何故俺を呼ばない!?」
千「大丈夫ー!?真尋!」
沖「なんだかすごいね。マンガみたい。」
「だ…だって。」
斎「全く、あんたが何かされたらどうするつもりなのだ。現に殴られかかったというのに…。」
「無事じゃん。」
斎「俺が来たからだろう!?」
千「あーはいはい。とりあえずそこまでにして…あなた大丈夫?」
私と斎藤の間に入るように千が手を伸ばし、一人放置されていた女の子に話しかけた。
斎藤も存在に気がついたようで彼女に大丈夫だったかと聞いている。
斎「すまない、阿川。何もされてないか?」
阿「うん。大丈夫。」
沖「えーっと、君って確か一君と同じ風紀委員だったよね?」
阿「はい。」
千「そっかあ。斎藤君と一緒にいることが多いから勘違いされたのね。」
なるほど。
ファンクラブの中にもまだまだ私の顔までは把握していない人が多いんだ。
それにしても恐ろしいな、斎藤一ファンクラブ。
阿「ありがとう。えっと…。」
「あ、私は真尋。廣瀬真尋。」
阿「廣瀬さん…ってことは、この人が?」
阿川さんがちらりと斎藤を見上げた。
すると斎藤はこくりと頷き彼女だと告げる。
阿「そう…。あ、私もう行くね?また委員会で。」
ぺこりと私たちにお辞儀をすると阿川さんは走っていってしまった。
やっぱりあの子…斎藤のことが好きなんだな。
彼女って紹介した時、すっごく傷ついた顔してたもん。
なんだかなあ…。
後姿をじっと見つめているとこつんと頭を叩かれた。
「いたっ。何するの。」
沖「ほら、はやくご飯食べないと昼休みなくなるよ。」
千「そうね。行きましょ。」
そう言うと沖田と千はすたすたと中庭のベンチの方へ移動した。
私と斎藤も後からついていく。
私達はベンチに座ると昼食をとり始めた。
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