▽ 3
「あ、これやりたい。」
沖「いいね。」
斎「これは何だ?」
千「画面を見ながらリズムに合わせて太鼓を叩くゲームよ。真尋と沖田君がやるから見てたらわかるわ。」
どこのゲーセンでも見かけるあの太鼓のゲームを沖田とやることになった。
…悪いけど、私。
強いよ?
案の定というかなんというか。
沖田も上手だったけど私が勝つことができた。
沖「まあ真尋ちゃんに勝とうなんて無理な話だよね。ゲーマーだもん。」
「別に家にこれはないから練習はしてないけど…。」
沖「もともとリズム感が良いのかもね。」
「だと嬉しいなー。運動は得意ってわけでもないし。」
沖「あ、一君やってみる?」
「斎藤が??」
なんか斎藤が太鼓叩いているところとか想像つかない。
UFOキャッチャーでも意外だったのに。
だけど何でも簡単にこなしちゃうタイプだから太鼓も上手いのかな?
曲を選んでいる時に問題が一つ浮上。
斎「…知らない曲ばかりなのだが。」
「流行りの曲は聞かないわけ?」
斎「あまり聞かないな。」
沖「まあ知らない曲でもできるよ。タイミングは画面で見るんだし。リズム感の問題だから。」
フェアにしようと私も知らない曲を選んでゲームを開始した。
「…。」
斎「む…。何だこれは…。」
ちょっと待って。
待って待って。
もしかしてもしかしなくても。
斎藤。
リズム感皆無か!!!
後ろを見なくても沖田が笑っている姿が想像つく。絶対こらえてるはずだ。千も。
勉強も運動も何一つ、斎藤に勝てるものなんてないと思ってたけど…。
これなら勝てる!!!
そう思うとついつい嬉しくなってしまって。
まあ、こてんぱんですよ。
やってやりましたよ。
「ふふ…ふふふふ。圧勝!」
沖「あはははは!一君ひどすぎ!ってか真尋ちゃんもひどい!手加減なしだね!」
「手加減なんてしたら失礼じゃなーい。ね、斎・藤・君。」
斎「…もう一度。」
「ん?もう一回?いいよいいよー。何度でもしてあげるよー。…どうせ負けないけどね。」
斎「…。」
無言で斎藤がお金をいれると第二ゲームがスタートした。
千「…とめないの?沖田君。あの二人永遠に続くわよ。」
沖「まあ、そろそろ他の人に迷惑だから止めようか。」
千「もう六回目よ。斎藤君負けず嫌いだったのね。」
沖「まあ、負けず嫌いではあるけど…。」
千「どうしたの?」
沖「いや、あんな楽しそうな一君、初めて見たからさ。」
千「私には表情一つ変わったように見えないんだけど…。」
沖「僕にはわかっちゃうんだよね。」
嬉しそうに笑う沖田に千はそうなの?と答える。しばらく見ていた二人だが七回目のゲームが始まる前に間に入って止めることにした。
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