はっぴー☆はろうぃん ―総司編―



なんだか周りが騒がしいと思ったら今日はハロウィンなんだ。
まあ僕には何の関係もないけどねと思っていたのはつい五分前。


廊下を歩いているといろんな女の子がトリックオアトリート?ってニコニコして聞いてくる。
その度に僕はカーディガンのポケットから飴やらガムやら渡さなくちゃいけなくて。

本当は僕も聞きかえしていいんだろうけどそれも面倒だ。
お菓子もらえればいいけど、トリックもらうなんてことになったら本当にどうしようもない。


「あーあ、お菓子なくなっちゃったよ。」


そう呟いて屋上へ向かった。
だって古典の授業なんてだるいし。
こんな気分の時に土方先生の顔なんて見たくないじゃない。

相変わらずセキュリティの甘い屋上の扉を開けるとそこには先客がいた。


「あれ?」

「あ、沖田君。」


心臓がドクンと音をたてる。
こんなところにいるなんて思わないから。

だって授業をさぼって屋上にいるなんてらしくないじゃない。


「どうしたの?」

「うーん…。いろんな子にお菓子とられちゃったから購買いこうと思ったんだけど。良い天気だったからそのまま屋上来ちゃった。」



ふわりと笑うその顔に心臓がさらにうるさくなる。

悔しいな。

僕は本当に君のことが大好きなんだね。



「授業さぼるなんて悪い子だね。」

「沖田君もでしょ!?」


驚く君の横に座って顔を覗き込む。
きっと君は先生に言われるかななんて考えて焦ってるんだろうけど。
そんなこと言うわけないじゃない。

だって先生に君がさぼるような子だなんてばれたら。


授業さぼって屋上へ行こうって誘えなくなっちゃうから。



「そうだ。トリックオアトリート?」

「え…?あ、お菓子もうないの!ごめんね?」

「ふーん。そうなんだ。」

「購買行く前に屋上来ちゃったから。」

「そっか。じゃあ…。」

「え?」



太陽が君の髪をキラキラさせるのを遮るように。
ゆっくりと君にキスをした。



「お…沖田君!?」

「お菓子くれないんじゃイタズラしなきゃ。」


そう言って笑いかけると君の顔はみるみる真っ赤になって。
目をふせて下を見ている。

「イタズラでそんなことしちゃだめだよ…。」


最後の方はもう聞こえないぐらい小さい声で君は言う。
きっと僕が遊びでこんなことしたと思ってるんでしょ?


そんなわけないじゃない。
余裕あるように見せてるけど本当は心臓破裂しそうなぐらいうるさいんだ。


だから言うね。


「好きだよ。」


真っ赤な顔をした君は。
顔を上げると今までにないぐらい可愛い笑顔で私もと言ってくれた。








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