土方さんの場合(現パロ)


 「あったま痛い…。」


生理二日目はお腹も痛いけど私はそれ以上に頭が痛くなる。

頭を抱えて仕事をしていたら、平助が二日酔いか?なんてのんきに聞いてくるから軽く蹴ってやった。

それを見た総司が、女の子の日はイライラしやすいから近づかないほうがいいよなんて笑いながら言うからついでに蹴っておいた。


普通体の調子が悪い女子に気遣う言葉ぐらいあってもよくない?


触らぬ神になんとやらといった感じで二人がさっさと自分のデスクについてしまうのを見届け、私は仕事を再開した。


頭が痛い時にデスクワークはきつい。
パソコンの画面を見ているだけでもしんどい。

こんな日に限って鎮痛剤を忘れてしまい、同僚の千鶴やお千ちゃんも持っていないと聞いて絶望した。

この頭痛で夕方までもつのか、私。

今のこの頭じゃろくな文章がうてない。
もう売上とか報告とかどうでもいいから誰か私の頭を治してください。


「おい。」

「わわっ!土方さん!」


完全に頭が仕事から逃亡していた私の横にいつの間にか土方さんが立っていた。


「すみません、ちょっとぼーっとして。すぐに仕事します!!!」

「そうじゃねぇ。ほら、これ。」


そう言って土方さんの手にあったのは鎮痛剤。
私が目を丸くしていると言葉を続けた。


「お前頭痛ひどいんだろ?なんで薬飲まねぇんだよ。」

「忘れちゃって…これどうしたんですか?」

「会社には薬が何種類か置いてあるだろうが。お前総務にいかなかったのか?」

「…そんなことすっかりぬけてました。」


土方さんが私の机に薬と水を置いてくれた。
ありがたく頂戴することにする。

「バファ○ン。錠剤大きくて苦手です。」

「…てめぇ他に言うことねぇのか。」


まずいまずい。
鬼上司の眉間の皺を深くするところだった。


「ありがとうございます、土方さん。」

「おう。」


薬も飲んだし、しばらくすれば頭痛もおさまるだろう。

「バファ○ンの半分は土方さんの優しさでできてますね。」

「何言ってんだよ。」


土方さんが呆れ顔で笑うから、つい私も笑ってしまった。


「はやく良くなれよ。」

「はい。」


そこだけ少し優しい空間になった気がした。



だけど。



「バファ○ンの半分がそんな気持ち悪いものでできてるんなら、僕は二度と飲まないな。」

「俺この前飲んじゃったよ!でもあまり効かなかったんだよな。」

「はは。平助に効かなかったってことは土方さん平助のこと嫌いなんじゃない?」

「ひっでー総司。」


少し離れたところから楽しそうな声がしてきた。
おそらくこっちの会話を聞いていたんだね。
あの二人。


でもほら、早く逃げないと。




「…じゃ、平助。僕仕事あるから。」

「は?何いきなり…。」



平助の真後ろにいつの間にか土方さんが移動していた。


「てめぇら。いろいろ言ってくれるじゃねぇか。」


笑っていたのは一瞬で。
あっという間に鬼に戻った。


その後、総司と平助は別室で説教され、残業させられたらしい。


鬼上司の優しいところを知っているのは今のところ私だけみたい。
その優しさに応えようと目の前の仕事にとりかかった。








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