第一印象は怖そうな人。
だけど本当は優しい人。
周りを良く見ていて、気遣える人。
そんな貴方の一番近くにいたいんです。



―積極的彼女 山崎編―


「山崎さーん。怪我しました。」

「また君ですか。」


保健室のドアを勢いよく開けるとしかめ面の彼がいた。
本当に怪我人か?と疑いの眼差しが痛いけど本当に怪我人です。

「手、切っちゃったんです。絆創膏ください。」

「そこに座って。」


はぁとついたため息、聞き逃しませんよ。


山崎さんは私の手をとると手早く消毒をし、絆創膏を貼ってくれた。


「はい、できました。」

「ありがとうございます。」

「…治療は終わりましたが?」

「はい。わかってますけど?」


うん。
山崎さんが言いたいことはわかるんだ。
なんで治療が終わったのに出ていかないのってことでしょう?

そりゃ出ていきませんよ。
私はあなたと一緒にいたいんだから。

しかも優しいあなたは出ていけなんて言えませんもんね。

「ここにいるつもりですか?昼休み中。」

「だめですか?」

「ここは具合の悪い生徒が休むところで…。」

「あーちょっと胸が苦しいです。」

「…。」


ただでさえ細くきりりとした山崎さんの目がさらに細くなる。
怖くなんてないもん。


「本当です。だって山崎さんがいるから。」

「は?」

「山崎さんといると胸が苦しくて、ドキドキしてどうしようもないです。どうすれば治ります?」

「な/何言ってるんですか!」

「これは何って沖田先輩に聞いたら恋の病だから山崎君に治してもらえって言われました。」

「あの人はなんてことを…。」

「だから、治してください!山崎さん!!」


どんっと山崎さんの目の前に仁王立ち。
あ、しまった。もっと可愛らしく振舞うべきだったか?
しおらしく胸に飛び込めば良かった。


「どっどうして俺が。」

「だって山崎さんしか治せないじゃないですか。恋の病なんだから。」

「治すって…どう治せと言うのです。」

「うーん。私の彼氏になってください。」

「っ…。」

「そしたら毎日ドキドキしちゃいますけど、でもいつか慣れるかもしれないし。」

「慣れてもらったら困ります。」

「え?」

「いつまでもドキドキしててください。俺は、慣れそうにありませんから。」



伏し目がちだった目もとが赤い。
山崎さんもドキドキしててくれたんですか?


「わかりました!ずーーーっと山崎さんにドキドキしてます!!!」


そう言って勢いよく彼に抱きついた。
あぁ、また可愛らしくできなかったけど。


「こんなところで抱きつかないでください!」


保健室の外まで聞こえそうな大声で叫ぶ山崎さんの焦る声が愛しい。


これから毎日ドキドキできそうだ。
とりあえず放課後に彼の教室に迎えに行こう。
大きな声で呼んでやると密かに計画をする私なのでした。





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