私の大好きな人は
とっても俺様で
とっても綺麗で
私の願いを叶えてくれる人。




―積極的彼女 風間編―



「はい、千景さん。お茶が入りましたよ。」

「ちょうど頼もうと思っていたところだ。お前も俺の妻としての自覚がでてきたようだな。」


私からお茶を受け取ると満足そうに微笑んだ。



…。



いや、妻じゃないですからね。まだ。

しかも自分がお茶飲みたかっただけだからついでですよ。ついで。

そんな言葉は心にとめて、私は近くにいた天霧さんと不知火さんにもお茶を配った。
二人はそれぞれ礼を言いながら受け取る。


「俺に仕える喜びを感じられるようになったか。」


どこ見てるの。
どこ見て言ってんの。
窓の外には何もないよ、千景さん。

天霧さんと不知火さんももはや見ないようにしてるよね。ね、二人とも。


最初はどうやったらこんな人間ができあがるんだろうって思ってたけど。
そんな人の彼女である私もきっと変わり者。

だってこの人が好きで好きで仕方ないんだから。


だから。
今日、伝えようと思います。







「千景さん。」

「どうした。」

「結婚しましょう?」


千景さんが目を丸くした。
横にいた天霧さんも、不知火さんも。


「……なぜ、お前から言うのだ。」

「いけませんか?」

「そういうものは普通男が言うものだろう。」

「じゃあ私が男でいいです。千景さん、白無垢着てください。」



ぶはっと不知火さんがお茶をふきだした。
天霧さんが無言でこぼれた個所を拭いている。



「…白無垢はお前が着ろ。」

「千景さん、綺麗でしょうね。」

「聞いていないのか。まぁいい。場所は俺が手配する。和装だな?」

「千景さん、ドレスでもいいと思いますよ。」

「…。」

「一年後ぐらいにしますか。」

「一刻も早くだ。すぐに予約をする。」

「楽しみだな。千景さんの花嫁姿。」

「…。俺は子は多い方がいい。今すぐに作るぞ。」



そう言って私の手首をつかむ千景さん。
それをするりと振り払う。


「私は二人ぐらいでけっこうです。さ、結婚式の準備しなくちゃね。」

「準備は二人でするものだ。おい、どこへいく。俺を置いていくな。」


慌ただしく出て行った二人。
そして残された二人。


「おい…。」

「何か。」

「会話が不成立なのに交渉が成立するってどういうことなんだ。」

「さぁ。…ただ、いつも風間が負けていますね。」

「…そうだな。」



静かにお茶を飲む二人が、騒がしく呼びだされるまで後10分。









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