みんなはドSって言うけど。
私には可愛い可愛い恋人。


―積極的彼女―


「コーヒーでいいですか?」

「うん。」


休日に沖田さんが家に遊びに来るのはもう当たり前の光景になった。
こうやって私がいれるコーヒーを二人掛けのソファに座って飲むのも。



沖田さんは会社の先輩で、上司の土方さんにいたずらをしかけたり、私の同期の平助をいじったり…かなりのいたずらっ子と言うか。
でも仕事は完璧にこなすっていうまさにギャップを持った人で。


私が惹かれるのに時間はかからなかった。


幸運なことに沖田さんも私を好きになってくれて、向こうから告白してくれた。
そして私たちは恋人同士になったのだ。


私たちが付き合うことになって。

土方さんをはじめ、平助も一君も。原田さん、永倉さん、千鶴まで。
みんなが心配そうな眼差しでこちらを見てきた。



―あのドSの彼女は大変なはずだ―


そう眼差しは物語っていた。

だけどね。

別に大変なことなんて何一つありません。

だって…。




「はーい、コーヒーです。お砂糖入れておきましたよ。」

「ありがとう。」



確かにこの人はSなんです。
でも私には優しいし、意地悪なことはたまにしか言わない。
それに。



「お菓子もありますよ、沖田さん。」

「…総司。」

「え?あ、ごめんなさい、総司さん。」



っ!!可愛すぎる!
名前で呼ばないとすねちゃうんですよ!!
あなた可愛すぎるんですよ!嫁に来い!
もうどうしてくれるんですか!?


今もコーヒーカップに口をつけて、すねた顔をして下を向いてる。


どうしても名字で呼ぶくせが抜けなくて。
その度にこうしてすねられていた。
でもその姿が可愛くて、時々わざと名字で呼んじゃったりする。

「もういい加減慣れてほしいな。」

「えへへ…すみません。」

「だって、君も同じ名字になってくれるんでしょう?」

「え?」


コーヒーをテーブルに置き、総司さんは私に向き合うように座った。
どこからだしたのか、すっと小さい箱を取り出すと指輪を取り出し、私の左手薬指に差し込まれる。


ドラマのワンシーンのようだ。


「結婚しよう?僕のお嫁さんになってくれる?」

「むしろ嫁になってください。」

「嫌だよ。」

「ひどい。」

「で、どうなの?」



思ってもいなかったであろう返答に総司さんは眉間に皺をよせていたけど、気を取り直したかのようにもう一度聞いてきた。


「私でよければその…喜んで。」

「…良かった!」



総司さんは思い切り私を抱きしめた。
ふわりと香る彼の香りが私は好きだ。

この香りを嗅ぐと思わず襲いたく…げほっげほっ!!!


「僕、子供いっぱい欲しいな。」

「私は総司さんにそっくりな男の子がいいです。もう遺伝子全部総司さんのがいってほしいです。」

「嫌だよ。」


本日二度目の嫌だよでました!
あ、呆れ顔になった。
だって本当のことだもん。


「僕は君にそっくりな女の子がいいな。それに僕に似た男の子なんていたら、君をとりあうことになりそうで面倒だし。」


一瞬そんな光景が浮かんで私は思わず笑ってしまった。


「幸せですよ。それ。」

「まぁ、どっちでも可愛いことに間違いはないかな。」

「では。子供、作りますか?」

「え?」



ソファに総司さんを押し倒してみる。
こんなこと、実は初めて。
だってこのドSが押し倒されるなんてありえないでしょう?



「一人目はやっぱり男の子がいいです。」

「ちょっちょっと!どこ触って…ってこら、脱がさないの!!!」


あれ。
こんなに慌ててる総司さんは初めて。


可愛い。



「ふふ。総司さん。可愛い。」

「かっ可愛いわけない!こういうのは僕の役で…。」

「たまにはいいじゃないですか。いっぱい啼いてください。」

「本気!?っ…あ。」





少し高めの声を出す総司さんが可愛すぎて。


はい、暴走しましたが、何か?



彼がドSでも問題ないんです。


だって私、もっとSだと思うので。


ふふふ。








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