―お兄ちゃんは心配性 永倉編―



「ただいまー。」

「おかえり。どうだった?」

「いやーやっぱりいいよな。結婚式は。」


少し顔を赤くして、ニコニコ笑顔で新兄は帰ってきた。
今日は高校からの同級生の結婚式でずっとずっと楽しみにしていたから。


「はい、お水。」

「さんきゅー。」


ぐびぐびと一気に飲み干してあっという間にグラスは空。


「やーもう泣けるんだよな。あいつが結婚なんてさー。」



ゴロンとソファに倒れ込む新兄。


「もースーツがしわになる!着替えてよ。」

「いーっていーって。どーせクリーニングだすから。」

「仕方ないなぁ。」


まぁ豪快で大雑把な新兄がスーツや私服のままベッドで寝てるなんてよくあることだけど。



私達は都内で二人暮らしをしている。
新兄は社会人。
私は学生。お互いの勤務地と学校が近かったため、両親から二人で住むことをすすめられた。


普通すすめるかな。
一応私達、血、つながってないんですけど。



ほのかに抱く恋心は。


冷静沈着、しっかり者の妹という仮面が見事に隠していた。



「ほら、新兄。明日は休みとはいえ、ちゃんと着替えてベッドで寝ないと疲れとれないよ?」

「うー。」



あ、まずい。
もう半分寝てる。
こんなでっかい人、私は運べないからね。


「新兄ってば!」


ソファの近くに座り込んで新兄の顔をぺちぺち叩く。
ぱちっと目をあけた新兄は私をじっと見つめると。


「お前もいつか嫁にいくのか…。」

「へ?」


寝ぼけてるのか、しっかりしているのかわからない表情で言った。


「そ…そりゃいつかは。」

「…………だめだ。」

「え?」

「どこの馬の骨ともわからない奴に可愛い妹を渡せるか!」

「えぇ!?」



新兄はむくっと起き上がると私の横に座る。


「何のために一緒に暮らしてると思ってんだ!悪い虫を近づけないためなんだぞ!」


完全に酔ってるよね!?
なんのためにってお金が浮くからですけど!?



「お前は誰にも渡さない!」



そう言うと新兄は私を抱きしめ…


だっ抱きしめられてる!?!?



え?

なんで?

ど・・どういうこと!?


「新兄!?」

「俺の嫁さんになってくれ…。」

「新兄???」




そのまま私に倒れ込む。
すやすや寝息をたてている新兄。


「どうしよ。この状況。」



はたから見たら押し倒されてる感じなんですけど。
そしてさっきのは告白とカウントしてよろしいのか?



明日一番に確認してみよう。
私をお嫁さんにしてくれますかって。


とりあえず、この腕から脱出する方法を考えなくちゃね。










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