はっぴー☆はろうぃん ―藤堂編―


「ありがとうございましたー。」


コンビニを出るまで、こっちを向いて手を振ってくれた小さい女の子に笑顔で手を振りかえす。


ハロウィンのキャンペーンで小学生以下の子には飴かチョコを無料でプレゼントをしていて、さっきの子はそれはそれは喜んでくれたわけだ。


「可愛い子だったなー。嬉しそうで良かった。」


商品整理から戻ってきた藤堂君がレジに入った。
一つ年は下なんだけど彼の人柄のせいかな、敬語使われなくてもなんかいいやって思えちゃうんだよね。

笑うと子犬みたいで可愛いの。


「うん。良い子だったね。」

「でも意外だったなー。小さい子とか苦手そう。」

「…何故ばれた。」

「あははは!やっぱそうなのかよー!」


子供苦手そうとか言われるの女子としてどうなんだろう。


「藤堂君は好きそうだね。」

「俺?おう!好きだぜ!」

「…同レベルっぽいもんね。」

「ちょっと!今聞き捨てならないことが聞こえたんだけど!!!」

「はーい、二人とも、交代の時間だよ。」

「「あ、はい。お疲れ様です。」」


バイトの終わりの時間がいつの間にかきていたらしい。
店長がわざわざ伝えに来てくれた。
藤堂くんとのバイトの時は時間が過ぎるのが早いな。


裏に入り、荷物を掴んでコンビニを後にする。
途中まで同じ方向だからいつも一緒に帰るんだけど…。


「あのさ。」

「んー?」


歩いていたら突然藤堂くんが立ち止った。
つられて私も立ち止まる。


「こっ…この前の返事!聞きたいんだけど。」

「あ。」


そう。
私は彼に。
告白されたんです。



年下だけどそんなの感じないし。
何より頑張ってくれようとするところが可愛いし。
でも真剣な表情はかっこよくて。



しかも告白なんてされたら。




ドキドキしちゃうじゃない。




真っすぐ目を見つめると藤堂くんはボンッと音がたちそうなぐらい顔が赤くなった。


「そうだね。ちゃんと言わないと。」

「うん…。」


本当はすっごいドキドキしてる。
ポーカーフェイスを装ってるけど鼓動を聞かれたら緊張してるのはバレバレだ。


でもまだ。

「ねえ、目、つぶって?」


くいっと彼の腕をひいてそう言った。


「へっ!?」


かなり焦ったのか声が上ずってる。
しばらく目を泳がせた後、観念したかのように目をつぶった。


そして私は手を伸ばし。


「っ…ん?」



彼の唇に持っていた飴を押しあてた。


「ハッピーハロウィン。」

「あ…飴?」

「そうだよ?何だと思ったの?」

「え!?あ、いやっその!」


笑っちゃうぐらい慌てる藤堂くんが愛しい。
私の答えなんて決まってるのに自分は意外と意地悪な性格だったらしい。



「ほら、帰ろう。平助君。」

「…あ。名前。」

「寒いから手、繋いでくれる?」

「もちろん。」


きっと来年は君に翻弄されてしまうから。
もう少しだけ余裕のあるふりをさせてね。



好きだよと耳元に囁いた。






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