急いで屋上庭園に行くと錫也先輩が座ってこっちを笑いながら見ていた。しかし黒い何かが出てる。ものっそい出てるぅううう!

「錫也せん」

「携帯」

走り寄ると錫也先輩は私の発言を遮って笑顔のまま手を出した。多分携帯を出せってことだろう。

「はい。」

「ありがとう。ちょっと中見るな?」

大人しく携帯を渡すと私の携帯を開きぽちぽちと何やら操作する。まぁ大したものはないからいいけど。

「なぁ、木ノ瀬君の電話番号消していいか?」

「はい?」

爽やかな笑顔のまま放たれた言葉はあまりに不釣り合いで聞き返してしまった。

「だから、困ったら俺が居るし木ノ瀬君の電話番号消していいよな?」

「え、それはちょっと困るんですが。」

「なんで?椿は俺の彼女だろ?」

さっきから少しもブレない笑顔のまま錫也先輩は首を傾げる。胸にさす違和感。なんでって大体消す方がおかしいでしょう。確かに錫也先輩は私のか、か彼氏だけど私は私、錫也先輩は錫也先輩だ。それに錫也先輩だって幼馴染みを大切にしてるじゃないか。錫也先輩はよくて私はダメだなんて。

「幼馴染みだし、錫也先輩に話しても分からないこともありますし。それに誰の電話番号知ってようが錫也先輩には関係がないことだと思います。」

だから返して下さいと錫也先輩の手から半ば強引に携帯を取り返した。お互いにお互いを威圧的な視線で見る。身長差がさほどないため視線がばちりとなるように合った。そのとき不覚にも私は身長が高くて良かったと思ってしまった。











私は錫也先輩の所有物じゃない

20110425
ちょっと、嫌だ

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