大きな荷物を寮の部屋に置きため息をつく。あの後ぐずるお父さんを説得し、夏休み中も寮で生活することを承諾してもらった。しかし説得に結構時間がかかり寮に戻れたのは錫也先輩が来てくれた日から二日が経ってからになってしまった。
少し開けただけなのに寮の部屋が懐かしく感じる。なくしたと思っていた携帯は机の上に普通に置いてあった。着信履歴は電話もメールもたくさん入っていた。だいたい錫也先輩であとは梓。未読メールを開きながら、ふと思う。そういえば梓が実家に電話してくれたから錫也先輩に会えたんだよな。

「梓にお礼言わなきゃなぁ」

もう夕方だし、部活も終わってるだろう。私は電話帳を開き梓の番号を呼び出した。

『もしもし?椿?どうしたの?』

「もしもし梓?一昨日あたりのことでお礼言いたくて…」

ありがとね、と私がお礼を言ったのに梓の返事が返ってこない。人がお礼を言ってるのに無視かよ。しかも遠くから声が聞こえる。人と電話してるのに他人と会話かよ。少しイラついて梓の名前を呼ぶ。

「ねぇ梓?聞こえてる?」

『椿、携帯見つかったんだね。』

二度目の呼び掛けに聞こえるはずのない声が返ってきた。パニックになり二、三回携帯の液晶を見たがしっかり"梓"と表示されている。しかしこの声を聞き間違うはずがない。これは錫也先輩だ。

『寮に戻って来たんだ?』

「あ、はい。さっき。」

『で、携帯を見つけて木ノ瀬君に電話したんだ。』

まぁ無事に帰れて良かったな。安心した。とか言ってるけど、あれ?錫也先輩機嫌悪い?

「はい。あの、す、錫也先輩ですよね。」

『うん。そうだけどちょっと屋上庭園に来れるか?』そう言った錫也先輩の声は普段通りのはずなのにやっぱりどこか怖かった。









というか、なんで錫也先輩が梓の近くに居るの?


20110422
仲良いのかな?

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