詳しく教えろとしつこく聞いた俺に根負けしたのか、最初から俺をからかっていたのかは分からないが錫也は困ったふうに笑って口を開いた。
「まぁ、簡単に言えば一目惚れだよ。」
一目惚れと言う言葉が慎重な錫也にあまり似合わなくて俺は驚いた。まぁ確かに堺はみた感じ大人びていて綺麗だ。
「最初は話せたらいいな、程度だったけど近づけば近づくほど好きになった。」
次の授業の教科書をだしながら錫也は続ける。
「頑張り屋さんで、恥ずかしがりで一生懸命。」
どれも俺の中の堺には当てはまらなくて生返事になる。
「すごく、大事。椿のためならなんでもしてあげたいし、俺の手で幸せにしてやりたい。」
そう言った錫也は堺を思っているかのように幸せそうに静かに目を閉じた。
一目惚れってあんだな
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