結局、本当に弓道具屋さんまで行って宮地君は真剣に何かを選んで買っていた。邪魔するのも悪いから私は私で狭い店の中に押し込まれた弓道具たちを見て時間を潰した。何に使うものなのかさっぱり分からないものばかりだったけど宮地君が好きなものなんだと思うと興味が湧いてきたから今度図書館で弓道に関する本を借りることにしよう。あ、白鳥君に聞いてみるのもいいかもしれない。
「待たせた。」
店に来て一時間ちょっとして宮地君は目的を遂行したらしく私に話掛けてくれた。
「待ってないよ。見た事ないものばっかりで楽しかったし。」
いつもみたいに笑ったつもりだったけど宮地君と向き合うと今日の同窓会のとき浴びた視線とか感じた後悔とか宮地君に掛けた迷惑に対する申し訳なさが溢れそうになって語尾が震えた。
「今日は無理矢理連れてきてすまない。天野に嫌な思いをさせた。」
違う違うと思いながらもひとつ悪くない宮地君が謝るから私はどうしたらいいか分からなくなってただありがとうと言った。
「礼を言うのは俺の方だ。ここまで、ついて来てもらったんだからな。」
「ここが楽しかったは本当だよ。ちょっと弓道に興味湧いちゃったもん。」
珍しく和らぐ宮地君の表情にドキドキしながら私たちは小さな弓道具屋から離れる。
「弓道に興味があるなら今度、弓道場に来るといい。」
そう言う宮地君は弓道部副部長の顔で。
「はい、ぜひ。あ、そうしたらゴールデンウィークの課題の進行予定組直さないと。」
そう返す私の顔はきっとどこにでもいる女子高生の顔だ。
友達って感じだ。
20110416
弓道具屋さんにて
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