そして月日は流れて同窓会の日です。なんか文章的に見るとサクッとここまで進んだ感じだけどこれで今日まで色んな変化が私にありました訳です。
あの日(宮地君が同窓会で俺と話せばいいだろう発言をしてくれた日)から学校生活での休み時間の私と白鳥君と言うペアの中に宮地君が組み込まれた。まぁもともと宮地君と白鳥君は仲が良かったから宮地君と白鳥君の会話に私も入れてもらうようになったという方が正しい。宮地君と白鳥君が話をしているとき側に居たら宮地君が"天野はどうなんだ"とか"話に入ればいいだろう"とか気に掛けてくれるのだ。気をつかわせて申し訳ないという気持ちはあるもののやはり嬉しい。
しかも彼は白鳥君と違い宿題を必ずして来るので分からないところを聞けたりするのでなお嬉しい。
と、こんな感じに今日までに私と宮地君の仲は大分友人らしいものになった(と私は勝手に思っている)のです。
「天野、座るのはA組側の席でいいか?」
会場は座敷タイプの大広間で私たちが到着するともうほとんど集まっていた。学年同窓会という割に人数は少なくて出席は各クラス10人程度のようだ。席は決ってないようだが自然と三年時のクラスでまとまっているようでもうあちこちで話に華が咲いている。
「うん。大丈夫です。でも私FだったからA側に居たら邪魔じゃないかな。」
宮地君の問い掛けに自嘲気味に笑って返せば。彼は座席は決ってないからと口を開く。
しかしその言葉を途切るようにA組の輪から声が上がった。
「おー宮地遅いぞー!」
「キャー宮地君だぁ久しぶり!」
幼馴染みの情報通り宮地君は人気者で女の子は一際きゃいきゃいと騒ぎだす。一気に盛り上がる輪の中で私はやはりこんなとこに居たら邪魔者だなと痛感し来たばかりなのにもう帰ろうかなと時計に目をやった。
「そっち、もしかして天野さん?」
ふいに掛けられた声にびくっとして顔を上げるといかにも高校生な女子が私を見ていた。
「なんで宮地君と一緒に居るの?あんたF組だったよね?あっち行きなよ?」
私の返事を待つことなく、放たれた言葉に私は落ち込むより妙に納得してしまい、浮かされたようにあぁと声をもらす。そうだよね。中学時代の私の友達は勉強だったし、私の名を知るこの女子の名前さえ知らない訳だし。
「天野さんと宮地君てなんか変な組み合わせだよね。」
高校での充実した毎日のせいでどうやら私は友達が居るという錯覚に呑まれてたようだ。
20110411
友達が居るという
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