「天野、宮地おはよーさん」
「おはようー!」
あの後、珍しくほかの部員がくることなく朝練を二人で終えて教室に向かうとなぜか犬飼君が私の席に座っていた。その向かいに座る白鳥君とふたり満面の笑みだ。
「犬飼君、白鳥君。朝練にも来ず何をしていたらそんなにご機嫌なんですか?」
「そうだ。この大事な時期に練習を怠るなどけしからん。」
私と宮地君が口々にそう言うとふたりはいかにも不満そうに表情を歪めた。
「ええ!?お前ら、俺らが気を使って道場に入らなかったってのに!」
「そうだぞー宮地ー?お前らがこうぎゅーっとし合ってるのを邪魔せずにだな」
効果音を口にしながら犬飼君が自分で自分を抱くようにして笑った。その後、にかっとサメっ歯を出して私の頭をがしがしとなでる。
「良かったな、おふたりさん。俺は恐ろしいほどに鈍感なお前らがお互いへの恋愛感情に気づいたことがうれしーぞ。むかつくけど。」
「ほんとずるいぞー!」
わいわいと盛り上がる犬飼君と白鳥君。私は、言葉の意味を徐々に理解して赤くなる。恐る恐る隣に立つ宮地君を伺えば真剣な眼差しで二人を見ていた。こんなときも冷静だなんてさすが宮地君。
…ってそんなことより
「この、気持ちが、レンアイカンジョウ、だったの?」
自分の口から出た言葉が不慣れすぎて日本語じゃないみたいだ。
「れん、あい…かん、じょう…」
静かに口にする宮地君もまたそのようだった。
圧倒される私たちを見て犬飼君と白鳥君は驚いた顔でわなわなと震えだした。
「お、お前らってやつは…何かも知らずに抱き合ってたのかよ!!」
なんか、沸騰しているんじゃないかって位熱い。あの気持ちの答えが“レンアイカンジョウ”だったなんて。
伝授された答え
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