的前に立ったもののさっきの犬飼君たちの言葉が気になって集中出来ない。違うのに!私は宮地君に対してそんな感情など抱いていない。絶対に。
確かにかっこいいとは思う。だけどそれが恋愛感情という訳じゃないはず。宮地君は優しいし、男前だし、真面目だし、努力家だし、礼儀正しいし。つまり彼は尊敬すべきところだらけなのだ。
だから彼に近付きたいとは思うけど、宮地君と手を繋いで町を歩いたり、宮地君に抱き締められたりしたいわけじゃ…
したいわけじゃ…
いや、…したい。
「したいっ!?」
自分の思考に驚いてギリギリと引いた弓が変な音を立てて変な方向に飛んでった。
「どうしたー?天野ー?」
「千歳ちゃん大丈夫?」
私の発した大声にみんなが私に注目する。白鳥君と夜久さんが声を掛けてくれるも私の脳内はパニック状態なので返答は不可能だ。
「天野?何がしたいんだ?」
そこに宮地君まで来ちゃったもんだから私は自分の顔が赤くなるのを感じて更にパニック。
嘘だ嘘だ嘘だ!
嘘だ!
「すみません、ちょっと頭冷やしてきます。」
これ以上みんなの練習を邪魔するわけにはいかないので心配してくれるみんなの声から逃げるように弓道場を出た。
自分の気持ちが恥かしい
20110427
困惑する自我
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