入部と決れば弓道着と道具だね、今日のところは部の物を貸してあげるね。と言うことで金久保部長と宮地君はどこかに行ってしまった。静かな道場に一人は結構寂しい。しかも未経験者の私が弓道部などに入って大丈夫だろうか。いや、入ると決ったのだからそんなことよりいいことを考えよう。そうだ!弓道部には白鳥君もいるから楽しそうじゃないか。しかも夜久さんも居る。友達になるチャンスだ。数少ない女同士積もる話も出来ちゃうかもしれない。それにそれに弓道部にはまだまだ部員が居るから友達が増えるかもしれない。うっかり後輩も出来ちゃうし!友達と一緒になってひとつのことに向かう。青春だ。これこそ私が掴み損ねた青春ではないか!
そこまで考えたときには私の脳内から初めの不安は消えていた。体育の苦手な私にとって運動部は辛いかもしれないけれど宮地君の青春の1ページとやらに私のことが刻まれるなら頑張ってやろうじゃないか。
「よし、やるからには全力で頑張るぞ。」
「いい心構えだな」
「でも無理は駄目だよ?」
独り言のつもりの言葉に返事が返って来たのでびっくりして振り向くと宮地君と金久保部長が帰ってきていた。
「はい、これが道具だよ。」
「で、これが道着だ。着方は夜久に教えてもらうといい。」
手渡された物たちを両手で抱えて私はまるで子供のようにこれから始まる"青春"に期待した。
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20110422
最初の第一歩
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