「翼ー!」
生徒会室に来ると愛しの翼が一人でいつものように発明品をいじっていたので後ろから抱き付いた。
「ぬぬ、ぬいぬい彼女先輩!」
翼は無理矢理振り返ると可愛い笑顔を見せてくれた。それにしても私のあだ名長いよ。間違っちゃいないけどね。
「んー名前で呼んでよ翼ー」
甘えたようにそう言えば翼はニコーってして名前を呼んでくれた。んもう!本当に可愛いんだから!
「ねね、翼ちゅーしよう!」
「ぬ?そういうのはぬいぬいとしたらいいぬ。」
「やー翼とがいいのーちゅーしよーよぅ。」
私がゴネながら翼のほっぺにちゅっちゅっしてたら生徒会室のドアがバーンって開いた。一樹だ。絶対。
「おいコラ星華。」
「あ、かずくん!」
明らかに機嫌の悪い一樹を見てわざとらしく名を呼べば翼からべりっと剥された。いやん。
「やー翼ぎゅってしたいー!」
「駄目だ。ぎゅうなら俺がしてやる。」
そう言いながらズルズルと生徒会長椅子まで連れてかれた。そして自分だけどかっと座ると足を組んで私を見る。いっつも思うけど一樹って足長いよね。ムカつく。
「お前、今、何してた」
「翼にちゅっちゅっ」
正直に答えればはぁと重いため息が返って来る。
「お前なぁ…」
一樹は目を閉じて中指と親指でこめかみをぎゅっと押すとまた私を見た。
「お前さ」
「会長!」
一樹が私に何かを言おうとしたその時颯斗が生徒会室に駆け込んで来た。颯斗が焦るなんて珍しい。
「どうした?」
「夜久さんが、男子生徒に絡まれててっ…」
「今行く」
颯斗から事を聴いた一樹は一瞬で表情を変えて立ち上がりあっという間に生徒会室から出て行った。まるで私なんかいないみたいに。
「ぬいぬい彼女先輩…」
立ち尽くす私を今度は翼が抱き締めてくれた。
(つっこちゃん大丈夫かな?)
20110316
残存的自身
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