一樹との三日間を思い出して複雑な気持ちになったがやっぱり嬉しい方が勝り上機嫌で階段を上がる。三日ぶりの学校はなんとか終わりやっと放課後だ。誉に一方的な報告をした後、担任に呼び出され三日の無断欠席を注意された。幸い強くは言われず、あっという間に解放してもらえた。が、三日の無断外泊のお咎めはきつかった。寮監は言わずと知れた熱血ちび教師直獅せんせえなのでそれはもう熱くお叱られました。ついでに三日間何をしていたか言えと言われたので誉への報告よりは分かりやすく簡潔に伝えたらなぜか"ぎゃふん"という言葉を頂戴した。

私は新しい左くすり指の指輪にキスをして5階を目指す。この指輪の片割れを持つ彼はきっと三日間で溜まりに溜まった仕事に追われているだろう。つっこちゃんや副会長くんに怒られながら仕事する一樹を想像して一人笑う。


幸せだなぁ

幸せになれたなぁ


一樹に愛されて引っ張られ幸せになれた。だけど私の幸せの裏にはたくさんの愛が歪んで張り付いている。

私と同じように孤独を恐れた翼の愛と

報われないと知りながら求めた錫也の愛


私はそんな愛情を踏みにじり幸せ(ここ)に来た。私は誰にも愛される権利なんてない。それも知ってる。だけどもらった愛を捨てるわけじゃない。踏みにじる足の裏で感じ続ける。










私を愛してくれた人たちを化け物らしく愛し続ける。

20110418
掌握的幸福

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