朝、教室に入ると誉が私の名前を叫ぶように呼んだ。

「おはよう、誉。」

「おはようじゃないよ、一樹も星華ちゃんも三日も無断で欠席した上に寮にも帰らないし、何してたの?」

相当ご立腹な誉に私はふふんと笑って左手をひらつかせる。

「大人の女になってきたのです。」

「意味分からないよ。何も変わってないじゃない。」

誉のお馬鹿さん!そんなにスッパリ切らなくてもいいじゃない。てか親友だろ親友の変化に気付けよ。と心で突っ込んだとき左手首を誉に引っ張られた。

「!?」

金色の瞳が私の左くすり指の新しいシルバーリングを凝視する。ふふん、やっと気が付いたようだね。しばらく私と指輪を交互に見た誉がゆっくりと悲しそうな顔になる。え?なんで?


「一樹と、別れたの?」

「なぜそうなる。」

思わず突っ込めば誉はだってだってと私に詰め寄る。くそう背高いくせに可愛いんだから!

「これ一樹とのペアリングと違うでしょ?」

「うん、まぁペアリングとは違うよ。」

「だから、乗換えたのかと…」

物騒なことを言う誉にストップをかけて私はまぁ落ち着こうよと席に座る。


「私ね、これからは場所を構わずかずくんに甘えることにしました。」

私の発言に"え?指輪の話は?"と入ってくる誉に黙ってと言えば誉は不満気だが黙ってくれる。

「わがままも言う。だけどお互い気が済むまで同棲はしない。」

「うん…」

「と、言う事で大人の女ってか、かずくんの女になるために三日間ふらふらしてました。心配かけてごめんね。」

「え?星華ちゃんはずっと一樹の女でしょ?」



結局納得出来ない様子の誉だったけど私的にはちゃんと説明したので親友への報告は一件落着だ。

三日の欠席で机の中に溜まっていたプリントを出しながらふと窓に切り取られた空を見て知らないうちに少し老いていた両親の部屋から見た空を思い出す。









後輩に告白された夜から三日が経った日の出来事



20110415
一方的報告

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