告白しに行きます、そうきっぱりと言い放った東月の顔が頭にこびりついて離れない。あいつが東月を選んだらどうしようか。らしくもなくそんなことを考えていた。腕で目を覆えば瞼の裏に泣きながら笑う今より少しあどけない星華がいた。

ガラガラ

ドアの開く重い音に少し驚いて視線を向ければ暗闇の中に会いたかったシルエット。

「錫也ね、化け物だって知ったのに私のこと好きだって。」

「お前は化け物じゃないからな。」

カツカツとヒールを鳴らしながらシルエットは人になっていく。会長椅子に座る俺の膝に乗るように抱き付いてきた星華に俺は安心する。俺のものだ。一度たりとも離したつもりはないが、ふらふらと浮いていた星華がやっと俺のものになった気がした。

「ねぇ、かずくん私欲しいの。」

久しぶりに俺の胸でなく星華の右くすり指のくすんだシルバーリングが鈍く月光を反射する。

「なにが欲しいんだ?」

しゃくりをあげる程泣く星華が落ち着くように優しくキスをして俺たちは月夜に紛れるように抱き締めあった。










酷く遠回りをした気がする


20110415
遠回的捕獲

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