しばらくしてやっと落ち着いた私は一樹に今朝のことを聞いて徐々に記憶を取り戻した。さっきまでの騒がしさから一転私の部屋は静かな空気に包まれていた。

「えっとまず、心配かけてごめんね。」

「本当に勘弁してくれ。」

ため息をつきつつ優しく撫でてくれる一樹に安心する。しかし一樹はその手をすぐ離し私を正面から抱き締めた。

「俺、東月に言う。」

一樹の言葉に私は終わりを知る。訝しげに私と一樹を見た錫也の顔が過ぎった。耳元で聞こえる大好きな声が囁くそれに私は複雑な気持ちを抱く。

「だけどお前は俺のだ。」

その強引な一言に私はふふっと笑う。

「星華は俺だけに愛されてればいいんだ。」

少し強くなった腕に私は自分ってだめだなって思う。この人は私しか見てない。きっと付き合い始めからずっとそうだったんだ。

私は錫也に、翼に、他の男たちに、何を求めて居たんだっけ?

私はつっこちゃんの何を、どこを、見ないようにしてたんだっけ?





「だから、もう俺以外の男を見んな。星華は俺が守ってやる。」



ぎゅうって息が出来なくなるくらい強く強くなる抱擁に私の熱は更に上がる。

このままこの熱に溶かされて一樹の中に溶け込んじゃえたらいいな。

なんて、ね。









廻りはじめる



20110409
開始的終幕

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