さっき一緒に登校していた星華先輩が金久保先輩に連れ去られて俺は結構イライラしていた。あんまりいい気分ではない中、教室につく前に哉太が朝っぱらからまた月子に付きまとっていた先輩たちと喧嘩をして体調を崩したのを中庭で目撃して保健室に寝かせに来た。ナイトもいいが自分の身体も大事にして欲しい。

「じゃあ俺たちは教室に戻るよ。」

「抜け出しちゃ駄目だからね!」

「わーってるよ!…ありがとな。」

布団を頭まで被った哉太を見届けて月子と保健室を出ようとしたときだった。壊れるんじゃないかって勢いで保健室のドアが開いて、険しい顔をした不知火先輩が星華先輩を抱いて入ってきた。

「巽先輩!?」

月子も顔色を変えて不知火先輩に抱かれた星華先輩に近付く。

「星月先生は?」

「今、居なくて…」

「くっそ…こんなときに…!」

保健室のソファに下ろされた星華先輩はこめかみあたりに痣が出来ている。

「大丈夫だよ、かずくん。大したことじゃないよ。」

笑う先輩は弱々しい。

「バカか。倒れて階段から落ちた奴が大丈夫なわけあるか!」

感情的に怒鳴る不知火先輩に俺は違和感を感じた。




しかしその違和感よりついさっきまで隣に立っていたはずの星華先輩の弱りように動揺した。不知火先輩を押し退け俺は星華先輩をベッドに移動させる。そして今や勝手を知る保健室の冷蔵庫から氷を出して星華先輩の頬に当てた。

「錫也…ありがと」

「熱、あるみたいだな。」

「ないよ。」

「こら、すぐ分かる嘘をつくのは止めなさい。」

「私は大丈夫だから、ね、錫也とつっこちゃんは教室帰らなきゃ授業始まっちゃうよ?」

自分がこんなに辛そうなのに俺や月子の心配をしたような星華先輩は本当に嘘が下手だと思う。













彼女は彼が居るからと俺を拒否する


20110323
違和的事故

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