最近、忙しくて全然星華に構ってやることが出来てなかった。二人きりの時間も星華がふらりと生徒会室にやってきたときにメンバーが気を使って席を外してくれるような(この前の月子のような)とき位だった。あいつは寂しいとも言わないし、俺が居なくても誉やら東月やらと一緒に楽しそうにしている。だがあいつは人一倍寂しがりで頭の中と行動がちぐはぐな奴だからきっと頭ん中では子供みたいにぐずってるに違いないだろう。そんな星華をこれ以上ほっとくわけにはいかないし、実際は俺も限界なのであらゆる仕事を放って今日の天体観測に誘ったというわけだ。
「うは、綺麗な星ー」
屋上庭園のドアを開けると視界いっぱいに星が輝く。そして隣で星華が嬉しそうに笑う。
「ふふ、今日ね、かずくんと一緒に星見れるのが楽しみで授業全然耳に入んなかったよ。」
そんな風に言いながら芝生に座る星華を抱き込むように俺も座る。
「こら、授業はちゃんと聞け。」
「はーい。お父さん。」
星華の首に腕を巻き付けるようにすれば、あったかいねと返ってきた。星を見るために上を向く星華の前髪に顔を埋めたら邪魔だと頭を叩かれる。
「不知火先輩!」
聞き覚えのある声に振り向くと記憶通り七海が嬉しそうにこっちに向かってきていた。
「おう。七海。」
「こんばんは。」
「あ、会長と巽先輩こんばんはー」
「巽先輩、会長こんばんは。」
「…こんばんは」
俺が片手をあげれば七海はペコリと会釈した。それを追うように月子、東月、土萌が口々に挨拶する。
「つっこちゃんに錫也!」
それを見た星華はするりと俺の腕から抜けて立ち上がり月子を抱き締める。
「ほら錫也も抱き締めたあげる。」
東月に向かい両手を広げそんな不穏なことをいうもんだから慌てて俺の方に引き戻した。星華は外見は年相応なわりに行動は子供っぽいというか、天然だ。
「かずくん何すんの?錫也抱き締めてあげらんないよ。」
「お前は俺を抱き締めてろ。」
まあ後輩相手にこんなむきになる俺も子供っぽいいえば子供っぽいがな。
星空より彼女の行動が気になる
20110321
不穏的行動
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