あの後、翼の隣に座って1時間待ったが一樹は帰って来なかった。私のせいで俯いたままの翼の頭にまたキスをして私は生徒会室から出ることにした。生徒会室のドアを開けた時翼に呼び止められた。
「星華」
「なぁに?」
「俺、それでもやっぱり星華のこと嫌いになれない。」
翼の方に向いてなかったから翼がどんな風にそう言ったのか分からないが私が「じゃあまたいちゃいちゃしよーね。」と言えば「考えとく」と返ってきた。後ろ手でドアを閉めた瞬間勝手涙が溢れて来た。
「やばっ…かっこ悪」
すんすんと鼻を啜りながらその場にしゃがみこみ携帯を取り出す。リダイヤルを押して耳に当てたらツーコールで優しい声が聞こえた。
『星華先輩…?泣いてるんですか?』
「うん。迎えに来て。生徒会室の前に居る。」
『分かった。すぐ行く。動いたら駄目だからな。』
電話口の向こうから聞こえる走ってるであろう早い足音と焦った敬語じゃないしゃべり方に私は安心する。
『錫也、どこ行くんだ?』
『用事が出来た。哉太、会長月子をお願いします。』
小さな声で電話の向こうの会話が聞こえる。一樹はまだつっこちゃんのとこに居たのか。そう知ってより酷く泣きそうになる。無神経な私は電話口で一樹と呼んだ。
『俺が居ます。今、迎えに行きます。』
「す、ずや…すき」
優しい彼に最低な言葉を吐いて私はまた泣く。
好き、という言葉をばら撒く女
20110317
困惑的号泣
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