二人目の女子生徒

 
四月。私が星月学園に遅れて入学してからまだ一週間だ。以前友達は出来ない。そんな私は今ものすごく困っている。

迷子になったのだ。

幼馴染みの梓(学校で唯一話せる人)から昼休みに‘放課後弓道場に来て’とメールが来たので弓道場を目指したところ迷子になったのだ。しかも梓は電話に出ない。

てか、この学園広いよ。なんだよ。弓道場ってどこだよ!!電話に出ろよ梓!ばかばか!!さっきから横を過ぎる人がちらちらこっち見てる気がする。むやみに歩いてたら同じとこぐるぐるしてる気がするうううう!!!!!

そんなことを考えなが歩いているといきなり肩を叩かれた。

ぽん

うぎゃああああああああ!!誰何私が何かしましたかすみませんただの迷子ですう!!!!と脳内大混乱。

「ねぇ君、さっきからここらぐるぐるしてるけどもしかして迷子とか?」

振り返るとそこにはニコニコしたお兄さんがいた。見たことあるぞ。あれだ。学園のマドンナ夜久月子先輩といっつも一緒にいる先輩だ。

「えっと…はい。実は。」

ドキドキ(いきなり肩を叩かれたことによる恐怖)しながらそう答えるとお兄さんが案内しようか?と言ってくれた。うわお神様だ!!

「はい。お暇ならお願いしたいです。」

口ではそう言ったものの内心暇でなくても案内してほしい。

「うん、いいよ。どこ行きたいの?」

そう言ってお兄さんはにっこり笑った。うひゃあイケメンだ。梓もなかなか整った顔だがこのお兄さんもイケメンだ。

「弓道場に行きたいんです。友達に呼ばれてるので。」

そう伝えると弓道場なら俺もよく行くんだ。とお兄さんは歩き始めた。



「君、堺 椿さんだよね?学園で二人目の女の子の。」

道すがらお兄さんが話し掛けてくれた。

「はい。」

「スノープリンセスちゃん、だっけ?」


ふおお?なんだその二つ名は。初めて聞いた。なんか変身出来そう。

「え?それ、私のことですか?」

「うん。あれ?知らなかった?」

「はい…お恥かしいながら友人は幼馴染みしかいないもので…」

私がそういうとお兄さんはよしよしと頭を撫でた。

「?!」

ひゃぁあああ!あ、頭撫でられたよ!!この身長のお陰で人様に撫でられることなどないのに。どうしようどうしよう!と脳内でばたんばたんしていたらお兄さんが私の顔を覗きこんできた。

「ごめん。つい癖で。そうだ。良かったらさ、俺と友達にならないか?一応先輩だし、色んなこと教えてあげられると思う。」

「ぜ、ぜひお願いします!!」

お兄さんの嬉しい提案に私は飛び付かんばかりの勢いで返事をした。

「ありがとう。俺は東月錫也。好きなように呼んでくれな?」

「ご存知だと思いますが堺椿です。幼馴染みからは椿と呼ばれてます。」

「うんうん。よろしく椿ちゃん」

「はいよろしくお願いします東月先輩。」





なんと今日一日で私は迷子と幼馴染みが友人しかいないという二つの悩みから救われてしまった。






(あ、ここが弓道場だよ。)
(ありがとうございます。)
(いえいえ)



20110314

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